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 なにかしら、鑑定士さんとおじさんとの間で、約束が交わされているらしい。それがなんなのかは知らないが、おじさんが俺に不利になることを勝手にするとは思えないので、心配は要らないだろう。

 おじさんと鑑定士さんは、低声(こごえ)でなにか話しはじめた。俺はそれを聴かず、妹の様子を見る。こちらも真剣な表情で、妹なりに宝石を鑑定していた。

 鑑定士さんが手袋を外し、ケータイでどこかへ連絡した。低声(こごえ)で十分くらい話し、ケータイをしまうと、丁度紅茶とケーキが運ばれてくる。それを運んできた従業員さんは、宝石や金にのけぞってトレイを傾けてしまい、ケーキをひとつ床に落とした。勿体ない。


 鑑定士さんはお手洗いに立ち、俺とおじさんで床掃除を手伝う。ケーキはほとんど形を崩さずに落ちたので、上のほう食べられるのになあと思いながら、従業員さんが慌ててひろげたポリ袋に移した。勿体ないな、チョコケーキ。

 別の従業員さんが雑巾で床を拭き、更に別のひとがかえのケーキを運んできた。だめになったのは1ピースなのに、6ピースくらい持ってきてくれる。それも全部違う味。俺はうきうきと、ケーキを眺め、どれを食べるか考える。

 鑑定士さんが戻り、手袋をはめて鑑定を再開した。ひとつひとつ丁寧に見て、メモをとっている。テーブルの端に置いてある紙は、もう残り数枚しかない。こんなに大量の宝石を鑑定するとは思っていなかったのだろう。

 ゲームでお店にアイテムを持ち込んで、売ったりするけれど、あれってすぐに鑑定しているってことなのかな。それとも、鑑定もなにもなくて、店主の裁量で好きな値段で買いとってるとか。ううむ、後者が多い気がする。俺のやってきたゲームの内容が偏ってるだけだろうが、買い叩いてくるひとも居るしな。価値がわかってなくて安く買いとってるってのもあるけど。

 あちらだと、検査官とか、実見者とか、鑑定するのに向いた職業や特殊能力があった。両替商で様々なものを買いとってくれるそうだけれど、そういうひとが居て鑑定してるらしい。その分だけ、ちょっとひきとり価格は割安になる。だから、薬材なら薬工房、お肉なら肉屋さん、など、それぞれのものを求めているお店に直に持ち込んだほうが高値になるのだが、すぐにお金にかえられるから、両替商も人気だ。

 ゲームだと一瞬だし、こんなに時間をかけて丁寧に鑑定するものなのだ、という意識が抜け落ちていた。この調子だと、三日くらいかかってしまうのじゃないかな。少なくとも、今日のお昼はここのレストランで食べることになりそうだ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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