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ココナツミルクにタピオカと色とりどりの白玉団子、ナタデココ、芋あん、ゆで小豆、マンゴーなどがはいった、東南アジアっぽいデザートを食べる。妹もだ。それから、ケーキ類も沢山とってきている。デザートでしめることにしたのだ。
おいしいココナツミルクに舌鼓を打っていると、ケータイが震えた。収納していると着信通知がわからないので、今はポケットに移動しているのだ。
とりだして画面に触れた。「誰?」
「おじさん」
ショートメッセージだった。食事を終えたら、旅館まで戻ってほしいそうだ。どうやら、宝石について、めどが立ったらしい。
俺はケータイを振る。「ご飯食べたらすぐ戻れって」
「……鑑定、すんだんかな」
「やと思う」
俺は肩をすくめ、妹はちょっと笑った。とりあえず、とった分はきちんと食べよう。
とった分を食べ、お手洗いをかりてから、出入り口へ向かう。妹がお手洗いに行っているので、それを待ちながら、外でタクシーをつかまえるつもりだった。「あの」
「はい」
外に出ると、あのおにいさんが、ほうきとちりとりを持って立っていた。駐車場の清掃中らしい。大きなちりとりのなかには、たばこの吸い殻やあき箱、つかいすてのライター、潰れたあき缶、お菓子のから袋などが沢山はいっていた。
俺はそれを見て、なんとなく頬をゆるめる。四月の雨亭でも、こういうものはお庭に落ちていた。鎖の切れたネックレスやペンダント、飽きたのか故意でなく落ちたのかわからないピアス類、服に縫い付けられている宝石、嚙んだあとの手斧草に、トゥアフェーノの餌がはいっていたであろう紙袋など、こちらとは似ているようで違うが、でもやっぱり似ているごみ達だ。
おにいさんは、さっと、建物側に置いてあるごみ袋へ走っていき、ちりとりの中身をざらざらと流し込んだ。分別はあとでするようだ。
おにいさんはちりとりを置いて、こちらに頭を下げる。「ありがとう。おかげで、足を洗えた」
「……ええっと?」
「あんたがくれた指輪」おにいさんは顔を上げ、俺を見る。「質屋に持ってったら、買いとってくれた。それで、借金返して、友達頼って逃げてきたんだ。ここの店長やってて……」
「へえ。よかったですね、いいお友達が居て」
「あんな高価な指輪、返せないけど、俺」
「ああ、気にしないで」
苦笑いになる。どうやら、あのみっつの指環はとても高く売れたようだ。信じがたい。
いや、待てよ。ってことは、俺が持ってる宝石類、やっぱり本物なんじゃん。あれらを資金源にして、必要なものを買えるかも!




