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朝はやくからビュッフェである。俺達はおなかがすいているので、もしかしたら食べ尽くすかもしれない。
先にお会計をすませておく形式だった。俺はふたり分のお代を払い、妹が確保してくれた席へ向かう。妹は小さな鞄を空いた席に置いて、メニューを開いて見ていた。自由に大皿からとることもできるし、かき氷やカレーライスなどは注文してつくってもらうそうだ。
「かき氷つくってもらおうかな」
「味は?」
妹はメニューをこちらへ見せる。かき氷の写真が数種類のっていた。
「この、マンゴーと練乳のやつ、おいしそうやん?」
「いちごのやつもうまそうやな」
「じゃあマンゴーといちご、注文してくる」
「ん。それじゃあ、俺、とってくる。なにがいい?」
「ピザトーストと、オムレツと、ローストビーフと、マッシュポテトと、たまねぎサラダと、お味噌汁どんぶりで」
「わかった」
そういう訳で、俺と妹はふたてに分かれた。妹はかき氷などを注文するカウンタへ向かって、数人の列へ並ぶ。俺は山と用意されている食糧の大皿へ向かっていった。うう、うまそうなものばっかり。
妹の食べたいものと、自分が食べたいものとを、三往復してかき集めた。四人席のテーブルがいっぱいいっぱいだ。
妹がほくほく顔で戻ってくる。
「かき氷、あとから運んでもらえるって。十分くらいしたらお願いしますって云っておいた。わ、お兄ちゃんありがと、大好き」
「ああ」
向かい合って座った。揃っていただきますをして、食べ始める。食前のお祈りもなければ、お祈りの鐘が鳴ることもない。奇妙だ。
妹はピザトーストをしあわせそうに食べている。俺は妹が左腕をあまりつかっていないことに気付いて、咽になにか詰まったような心地がした。
「なあ、昨日の怪我」
「大丈夫」
妹は穏やかに、しかしきっぱりと俺の言葉を遮る。「ちょっと、動かしづらいだけ。何日かしたらようなるよ」
そうだろうか。あちらでだって、怪我が完治してからも後遺症があるひとは居た。恢復魔法でも、傷薬でも、どうにもならない怪我があるということだ。サローちゃんの傷薬の効果が低いとは云わないけれど、あの傷は相当深いものだったし……。
「あとで、病院、行こう」
「二・三日してからね」
「痕になったりしたら」
「大丈夫だから」
心配だが、妹は頑固だ。今日明日、俺の封印が解けるということはないだろうし、二・三日しても様子がおかしかったら、無理矢理にでも病院へつれていけばいい。そう考えることにした。
妹はおいしそうにピザトーストを頬張っている。嬉しそうな笑顔が可愛かった。




