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その後も、相談、というか、なにを持っていきたいかという話し合いはしばらく続いた。植物の種や苗なども幾らか持っていけばいいのでは、という意見も出た。
問題はそういったものの容器だけれど、サキくんがプラスチックも還元している。だから、還元士ならばプラスチックでも還元できるだろうし、もしできなくても俺の収納空間にずっといれておけばいい。死んだあとには、巾着切りでないと干渉できないものだし、もし俺が悪しき魂だとばれて殺されたら、すぐに滅却と還元が行われて、収納空間の中身なんて誰も気にしないだろうから。
一時間くらい話し合いがあって、三人とも欠伸がとまらなくなってきたので、お開きにした。おじさんはお休みを云って居なくなり、俺と妹は寝室へひっこむ。久し振りのお布団だ!
お布団にもぐりこむ。羽布団は夏でも快適だ。こういうのも持っていこうかなあ……などと考えている間に、眠っていた。
「お兄ちゃん」
上体を起こす。
すでに身繕いした妹が、俺の頬をつまんでいた。ぺちぺちと手をはたき落とすと、妹は笑う。「めずらしいね、お寝坊さん」
「……レストラン、もう開いてる?」
「ちょっと離れたところにあるビュッフェにつれてってくれるって、おじさん」
俺は即座にお布団を出て、洗面所へ走った。妹の笑い声が追いかけてくる。
妹はご機嫌だ。あちら製の革のサンダルを相当気にいったらしい。行ったり来たりを繰り返している。
おじさんがつれていってくれる、と云っていたが、なにか用事がはいったそうで、結局俺と妹はふたりでおじさんの手配した車にのり、目的のレストラン近くで降りた。そこから十分くらい、歩いている。妹が歩きたがったので、結構手前で降りたのだ。
「これ、はき心地凄くいいよ」
「そうか」
「あんまり不便じゃない世界みたいやね」
振り返った妹に頷いた。妹はとことこやってきて、俺の腕を掴む。「おいしいもの、あった?」
「ああ。なんぼでも」
「どんなん?」
「山羊の炊き込みご飯とか、ドライフルーツが沢山はいったパンとか、はちみつに浸したかたいケーキとか」
「おいしそう」
「ああ」
「かわったものはなかったん?」
「色々あったよ。牛の血とか」
「牛の血」
頷く。
まだダストくんの村に居た時のことだ。あの辺りでは、お肉は羊か山羊を食べ、鶏はたまごの為、牛はミルクの為に飼っていた。潰すのは本当にたまにだ。お肉はみんなで食べて、牛脂などは保存がきくので大切に保管される、らしい。日常的には牛の血を飲んでいた。
「ねばねばしたのをとりのぞいてから、牛乳とまぜて飲むんだ。あんまりくせもないし、栄養たっぷりなんだって」
「なんか、異世界やね」
「いや、こっちでもそういうの、あるらしい」
「へえー」
妹は目をしばたたく。「お兄ちゃん、相当なじんでたんやね」




