3354
十分くらいして、おじさんがやってきた。妹は髪を乾かし終えて、部屋着にかえている。おじさんに、宝石などあちらの世界で手にいれたものをお金に換えてほしいと頼んだ、ということは、もう話してあった。
おじさんは手巾で顔をあおぎながら這入ってきて、もごもごと挨拶をしながら俺の向かいへ座った。妹が俺の隣に腰を下ろす。
「真緒。その……」
「おじさん、わたしも話は聴いてるから」
「ああ、そうか」
おじさんはほっと息を吐いた。「それやったら、話がはやいな」
おじさんは前置きを一切しなかった。
「真緒、宝石、幾らか渡してくれるか? 鑑定してもらわんと、なんとも云えん」
「ああ、そっか。ごめん、気付かなかった」
「いや、俺も昼間は驚いてしもうて、そこまで頭がまわらんかった」
おじさんは苦笑いになる。「明日、鑑定してくれるひとのところまで持っていく算段はつけた。信頼でくるしや。そこで、鑑定してもろうて、本物やったら、ひきとる」
「全部鑑定する?」
「本物やったらな」
頷いた。
鑑定してもらって、それに応じて値段をつけ、ひきとってくれるらしい。おじさんは俺の持っているものを買いたたくこともできるのに、それはしない。誠実なのだ。そして、約束を決して破らないひとである。
おじさんに、収納空間から出したアクセサリを渡した。おじさんは大切そうにそれをうけとり、手巾に包む。金銀プラチナ、ダイアモンドエメラルドサファイア、など、種類はばらけさせた。一本、金のペンも渡している。
「じゅうたんとタペストリーも、専門家をさがしよる。すぐに見付かると思うけん、何日か待ってくれ」
「わかった」
「それで、真緒、お前金がほしい訳じゃねえじゃろう?」
おじさんはやわらかく云う。「なにか、買うつもりじゃないかと、俺は思っちょるんじゃが」
「うん」頷いた。苦笑いになる。「あっちじゃ、こっちのお金はつかえないからね」
おじさんも苦笑し、妹も笑った。
ほしいものは色々ある。
まずは、食糧。あちらでは色々と、手にはいらなかったり、はいりにくいものがある。こちらの食べものを平気であちらのひとに食べさせてしまっていたが、不調が起こったという話も特に聴かないので、多分持っていっても大丈夫だと思う。
ケミカルなものがどうかはわからん。俺がたまたまあの日、インスタントとかレトルトの食品を買ってなかったから、うっかり食べさせるってこともなかった。基本的に、オーダー24で売ってる食べものは、いわゆる自然派がほとんどだし、チョコレートでさえ自社ブランドの食品添加物なしのやつだし。意識高い系ドラッグストアだもの。




