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「やから、俺があちらの世界とまだつながりがあるかどうかがわからん。そのチャタラの場合は、封印が解け次第、使役してる黒騎士が呼び出したって可能性もあるやろ?」
俺の言葉に、妹はこっくり頷く。
外からひとの声がして、俺と妹はどちらもびくっとして扉のほうを見た。妹が立ち上がる。「ご飯来たみたい」
「ああ」
俺も立った。
妹がつっかけに足をつっこんで、扉を開けると、従業員が数人居た。挨拶をして這入ってくると、ローテーブルに妹が注文した食事が並ぶ。妹はジャンクな味が好きなので、ピザが渋滞していた。
俺はそれをちらっと見て、お手洗いに行った。その後洗面所で手を洗い、軽く顔も洗う。妹の洗った手巾がピンチハンガーでゆらゆらしていた。
妹に話したように、俺とあちらの世界のつながりがまだあるかどうか、わからない。「封印解除まで」というあの時間がゼロになったら、単純にほーじくんへの負担がなくなる、というだけかもしれない。
でも、戻れるように協力すると妹に云ってもらえたのは、嬉しかった。
俺達はローテーブルをはさんで、しばらく無言で食事をした。妹はとにかくおなかになにか詰め込んで、話を再開したいみたいで、いつにもましてはやく食べている。俺も、つられてぱくぱくと口に詰め込んでしまった。
「……これおいしいな」
「なあ」
「こっちはおいしいねえ」
妹はじろっと、あじのお刺身を睨んだ。俺は苦笑いでそのお皿をひきとる。妹は味の好みが激しい。
食糧がなくなって、俺達は空のお皿をティシュで拭いていた。こういうのはくせだ。やらないと落ち着かない。
「さっきの話な」
妹はお皿を積み上げている。連絡すれば、お皿をひきとりに来てくれるそうだ。俺はああと云って、やはりお皿を積み上げた。これをすると食器が傷むらしいが、重ねなかったら床がお皿で占領されてしまう。
「使役されてたから戻れたかもって。でも、それも、可能性やろ」
「ああ」
「使役されてなくても、封印が解除されたら、戻るかもしれん、のよな」
くずかごにごみがたまっていった。還元があったら、これも素にできるのに。
妹はお皿を重ね、満足そうに頷いた。
「お兄ちゃんは、戻れると思うわ」
「……どうして?」
「だって、封印自体が、強いつながりやから」
目が合った。妹はくすっとする。
「やから、戻った時に備えて、色々準備したほうがいいと思う。みんなチョコが好きやって云ってたやん? 持っていってあげたら?」




