3344
昨日掘り尽くした部分にまた、小さく宝石がついている、ということも、ままある。「そういうもの」だから、あちらのひとはそのことを疑問にも思っていない。単純に、「素が世界に還ったから、完璧な状態に戻った」だけなのだ。開拓者が整えた状態を完璧、最善と捉えているひと達には当然のことである。
自分達がしているのは、開拓者が美しく整えた世界を無粋にも破壊する行為だと、鉱山を所有している罪悪感から井に沢山の寄付をするお金持ちも居るらしい。 開拓者は還元という能力を人間に与えた。人間のなかでも特に、開拓者の恵みが多いひとが「巡らせる者」を持っている。還元は、開拓者が推奨している。
だから、還元に拠って起こることは、開拓者の意思なのだ、という考えだ。勿論、そういった話題の場合には、還元過多に拠る魔物の襲撃に関しては、開拓者の意思が介在しているかどうか、無視される。
素による復活は、鉱山にだけ起こる現象ではない。なにか災害があって、地形が変わった、なんてことがあっても、その場で還元を繰り返せば、徐々にもとの地形に戻る場合がある。完全に戻ることは稀だけれど、そういうものなのだ。
人間がつくったまちや建物は? と疑問に感じたが、それらはものとしてそこに存在するから、消えたりはしない。そのものを還元したら、地形がもとに戻るのがはやくなるかもしれない。
素が作用するのはだから、「なくなったものを補充する」方向なのだと思う。
地形だって、例えばぐちゃぐちゃになった川底そのものを還元して、という方法でもとに戻している。戻る時に邪魔になるものをどかしてあげれば、戻る。そういうものだ。
それが開拓者の意思なのだから、深く考えてはいけない。開拓者の崇高な考えを、ちっぽけな人間ごときに理解できる訳がないのだ。……ものの本には、そんなふうに書いてある。
エイジャさんの村みたいに、還元でももとに戻せない場所はあるみたいだが、そういうのは「開拓者の意思で地形がかわった」と考えるのがあちらのひと達である。
どうにかなれば、開拓者の意思。どうにもならなくても、開拓者の意思。リアルに天罰がくだされる世界だから、そういう思考になってもおかしくない。
実際、そうかもしれないしな。開拓者がそうプログラムしたんだ。それですべての疑問が解ける。
どうして将棋で玉をとられたら負けなの? と訊かれても、それがルールだからとしか云いようがないのと同じだ。




