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おまんじゅうはなくなり、妹は冷蔵庫からとりだしたつめたいココアを飲んでいる。話題は、ミューくん達、それにほーじくんのことに移っていた。
ミューくん達と親しくしていたこと、それに、ほーじくんに何度も助けてもらったこと、そういう話だ。俺が鈍くてへまばかりしているのは妹も知っているので、歳下の子達に助けられたと云ってもなにも疑問に感じていないらしい。
ミューくんがほとんどの怪我や病気を治してしまうと云うと妹は感心し、ジーナちゃんが隠密という姿を消すスキルを持っていると云えばへえーっと楽しそうな声を上げ、リオちゃんが二刀流で男の子にも負けないくらい強い、ユラちゃんは魔法一覧にある魔法ならどんなものでも完璧につかいこなし、リッターくんは万能と不倒で途轍もなく強いのだと喋れば目をきらきらさせた。
「ほんとに、ゲームみたい」
「なあ」
「でも、よかったね、お兄ちゃん。いい子とばっかり知り合って」
妹は安心したみたいにそう云って、ココアを飲み干した。
「サキくんは、還元をつかえて、しかも凄く上手で、よく宝石をつくってくれてた」
「あ……じゃあ、お兄ちゃんが持ってたのって……」
「これはな」収納空間から、サキくんの琥珀をとりだした。ローテーブルへ置くと、ころんと転がる。「お前にあげた、アクセサリは、あれはその辺で沢山売ってる」
「その辺」
「その辺。ほんとに、これくらいのざるみたいなのにのせて、銀貨1枚で売りよる。俺、鈍いから、かなり時間がたってから気付いたんだけど、あっちでは一番手にはいらん金属は銀なんだ。プラチナは銀のにせものって扱いだし、金もいやになる程ようけとれるけん、なんにもありがたがられん」
妹は目をぱちぱちさせる。俺は苦笑いだ。
「異世界やなあと思うたよ。宝石類も、あるとこに行けばなんぼでもとれるんやって。だから、魔力や体力を底上げするみたいな、効果のついた宝石やないと、その辺にほかしてしまうものらしい」
「これを?」妹は琥珀を指さす。「こんなに綺麗なのに」
「ああ。指環にするような大きさのは、かたくて丁度いいからって、家の土台につかうらしいわ。砂利扱いやな。あとは、露天商のじゅうたんの重し。銀貨何枚かで、樽に何個分も買える」
妹はまた、激しく瞬く。「掘り尽くすことはないん? 鉱物なんやし、そんなにはないやろ」
「いや、大丈夫らしい。ほら、還元の話をしたやろ? ものを素にして、世界に還すちいう」
「ああ」
「それがきちんと行われていたら、宝石もいつの間にか復活するんだ」




