3313
カウンタがいつゼロになるかわからないが、備えはしておくべきだと結論するまでに、一時間くらい歩いた。
あちらへ戻るとなったら、持っておきたいものは沢山ある。それを手にいれる為には、お金が要る。俺はそこまでお金を持っていない。
でも、収納空間にいろんなものがある。
あちらで買ったものにとりついているかもしれない微細な生物を偸利で死なせて、その分体力と魔力をもらう、というのが、食事と睡眠以外でできる恢復だ。あちらの世界で買ったものをこちらで成る丈安全に売買する為にも、その作業は欠かせない。
無責任に配ってしまった指環から疫病が発生したりしませんように、と願いながら、俺は方向転換して、あしを少しだけはやめた。
家へ戻り、マルジャンとヤラを浴室へ呼び出す。
「あし、洗うから」
二匹は素直だ。俺は二匹の足裏や、おなか辺りを重点的に洗う。どちらも裸足だし、たまに地面におなかをくっつけているので、案の定せっけんの泡が黒くなってくる。二回くらい洗って、どうやら綺麗になったらしいと判断し、二匹を居間へいれた。
状態異常をもらった。やっぱり吐き気と眩暈がある。これは、もしかして、お酒に酔うとこんな感じなのかもしれないな。やっぱり、こちらのなにかを分解できないか、分解しづらい体質ってことかもしれない。
二匹はおなかをすかせているみたいだ。「お肉食べたい?」
頷きが返ってきた。あちら産の牛肉を、偸利で綺麗な状態にしてからお皿にのせ、提供した。二匹はちまちまとお肉を嚙みちぎって食べている。口はあまり開かないようだ。顔、可愛くねえー。
昨夜黒砂糖を嬉しそうに食べていたし、どうも雑食性らしいので、黒砂糖と野菜もお皿にのせておいた。そちらも綺麗にしてある。それから、マルジャンとヤラの体にくっついた虫や微細生物を、もう一度偸利でとりのぞいておいた。しっかり口に出せば、間違って二匹からすいとってしまうことはない。……多分。
手を洗って、俺は作業にとりかかった。どれくらいのものが、どれくらいの値で売れるのかはわからないが、とにかく売れる状態にしておかないといけない。
チャタラ達がお部屋の隅っこでお食事するなか、俺は邪魔っけなソファやテーブルを一旦収納して場所を確保し、まず、じゅうたんやタペストリーを綺麗にする作業をはじめた。
やることは簡単だ。まるめた状態のじゅうたんをとりだす。これについてる微細生物からすべてをすいとる、と考えて偸利をつかう。綺麗になったものは収納する。それのくりかえし。




