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と、意気揚々で眠ったものの、朝になるとどんよりした気分が戻ってきていた。深夜にろくでもないことを考えつくというのは本当らしい。
結局のところ、戻ってどうなるのか、という問題が、重くのしかかってくるのだ。
戻ったら、傭兵協会に人相書きがある、なんてことも考えられる。悪しき魂の危険人物として。そうなったら、まちには近寄れない。
それに、俺は山道掃除の前日に姿を消したのだ。それが疎蕩者に対する重大な不敬だったら、戻った瞬間天罰がくだる、かもしれない。
そして、俺が封印されるところを見た六人、それに封印したほーじくんは、俺を受け容れないだろう。
封印されてしまったからもう死んだも同然だし、俺の名誉の為に口を噤んでいよう、となっても、戻ったら、悪しき魂を放ってはおくまい。
リッターくんは、俺が魔法をつかったのを見ても黙っていてくれたし、マイファレット嬢へ口止めしようとしてくれた。もしかしたら、気にしないかもしれない。
でもそれは単に俺の、魔法をつかえることを隠したい、という気持ちを尊重してくれただけで、あれが冒瀆魔法であると気付いてはいないのかも。
身繕いした。ケータイを見ると、妹からメッセージがはいっている。裁判についてだ。俺は、行くのはやめとく、と返信した。
マルジャンとヤラは猛毒状態になっていて、それをひきとるとカウンタが一瞬停まった。体調がいい、魔力や体力が充分、という状態だと、残り秒数がはやく減るようだ。
二匹を解放したら、俺よりもはやく向こうへ戻るかな。それとも、俺よりも遅いかな。封印が解ける前に、死んでしまうかもしれない。
しばらくぼーっとしていた。それから、タペストリーをとりだし、それについているかもしれない微細生物を偸利で死なせる。妹にあげる約束だったからだ。
「……ご飯食べよう」
俺はケータイを収納し、外へ行く。調理をする気力がなかった。
俺は今日は、昨日のようなミスはしなかった。ちゃんとコンビニでお金を下ろしてから、ご飯を食べに行ったのだ。
お安いお店を数軒はしごして、おなかが落ち着いた。妹につれていってもらった喫茶店でパフェを食べてしめ、外に出る。
カウンタは俺の意図とは関係なく、まわりつづけていた。どうやら、食事をしたらその分は確実にまわるのがはやくなるらしい。戻っていいかどうか、俺は判断つかないが、カウンタは俺の意思とは無関係な動きをする。どうしようもない。
それなら、戻った時に備えるのが正解なのかな。ああもう、わからん。




