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それに、御山はよくも悪くも秘密主義だ。ほーじくんが、封印をつかえると云うことを知られたくないと云えば、隠してくれる。だから、あえて俺に、というか奉公人に知らせる必要はないと判断したのだろう。
マルジャンとヤラは、檻から出された、と思ったら、ほーじくんに封印されたらしい。
封印は一回につき一体、それを解除しないと次はできない、というイメージがあった。本にはそういうふうに書いてあることもあるし。ただ、やっぱり魔法だから、個人差があるみたいだ。一度に複数封印できるひとも居れば、それができないひとも居る。解除できるひとも居れば、できないひとも居る。そういうことだと思う。
マルジャンもヤラも、しばらくこちらでさまよい、おなかがすいてごみをあさったりしてた。チャタラは雑食性のようで、ヤラは人間に見付かりそうになってごみあさりを辞めたらしい。マルジャンは弱っていたので、小動物を捕まえたり食べられるものをさがす余裕がなく、生ごみに手を出そうとして大騒動になった。
ヤラもヤラで、その辺に居るねずみやゴキブリを食べてしのいでいたが、魔力がどんどん減っていくのがつらくて、強い魔力の気配がする博物館に来た。要するに、俺目当てだったってことだ。
二匹に魔力を譲渡する。どちらもほっとした様子を見せた。
「ねえ、封印解除ってやつ、どういう意味かわかる?」
二匹は顔を見合わせ、マルジャンが俺を見てしゅーっと鳴いた。なにか知っているんだろうか。
そこからは二十の質問みたいな地道な作業だった。三十分くらいかけて聴き出したところによると、封印解除とは文字通りの封印解除で、封印が解けてあちらへ戻る、ということのようだ。
俺は頬杖をついている。どうしてマルジャン達がそんなことを知っているのかと思ったら、ずっと昔に巨大チャタラが封印され、すぐに戻ってきたらしい。その巨大チャタラは、その時代の黒騎士に使役されていて、黒騎士から封印解除について聴いた。で、その巨大チャタラの手下だったチャタラ達にもその話がひろがって、今に至るまで伝承されている。
つまり、あのカウンタがゼロになれば、俺はあちらへ戻れるかもしれないってことだ。ただ問題は、カウンタがゼロになるまではおそらく尋常じゃない時間がかかるだろう、ってとこなんだけど。
あの調子でカウンタがまわり続けたとしても、もしかしたらいつか急速にスピードが落ちるかもしれないし、停まるかもしれない。大体、あちらへ戻ったって、封印されていた俺に戻る場所はないだろう。
そう思っても、やっぱり未練があって、俺はメニュー画面のカウンタを見た。「は?」
目を疑う。残り秒数が大幅に減っていたからだ。




