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二匹はしゅうーっと鳴いたが、抗議ではないようで、逃げたりはしない。
俺はまず、ヤラの体からがらす片をとりのぞくことにした。厚手のゴム手袋をはめて、えいやっとひきぬくこと数回、すべてとりのぞけた。手に一ヶ所傷ができたが、これは検証につかえるので逆にラッキーだ。
がらす片とゴム手袋は収納し、ヤラに自分で治療させる。確認したら、つかえたのだ、水花と燕息。
治療のあとは、カリせっけんで洗ってあげた。向こうにもあったし、大丈夫でしょう。
面倒なので、浴室にせっけんを投入してお湯を注ぎこみ、そのなかで洗った。マルジャンもヤラもおとなしい。
最後にお湯で洗い流し、あちらで手にいれたタオルで軽く拭う。二匹から毒をもらって、それから、帰る途中に思い付いたことを試してみた。
マルジャンの体に手をあてる。「マルジャンの体の、人間に有害な微細生物から、全部吸いとる。偸利」
マルジャンがしゅわっと鳴いた。お、できてる! 体力を奪ったから、手の傷が一瞬で治った。
ヤラにも同じことをした。これで、こいつらから変な病気がひろがることは、ないんじゃないかな。
とはいえ、あれだけ暴れていたのを見た直後だ。使役を解く気にもなれない。俺は二匹を乾かして、リビングへ行った。二匹もついてくる。
「訊きたいことがあるんだ」
ソファに座ってそう云うと、マルジャンもヤラも頷いた。こちらの言葉は通じているみたいだな。
「マルジャンとヤラも、封印されたの?」
どちらも頷く。それはわかっていたことだ。二匹の情報に、「封印」と書いてある。ついでに、「解除までの時間は使役主に依存」という無駄な情報もあった。どうもありがとう。
俺が訊きたいのは、その次のことだ。二匹に、封印された、という意識があるかないか確認してからするべき質問だと思って、先に封印されたかどうかを訊いた。
「封印したのは、羽持ちの祇畏士? 濁った白の羽の」
また、どちらも頷く。そうか。職業の検証で、封印を試した、ってことか。
それから、はいかいいえで答えられる質問を重ね、二匹から成る丈情報をひきだした。
まず、二匹はあの日の朝に、人間に捕まって檻へ放り込まれ、御山へつれてこられたみたいだ。ほーじくんの宣言があることは御山の偉いひとは知っているから、封印をつかえるようになった場合に備えてチャタラを捉えておいたと云うことだろう。
単なる奉公人だった俺に、その情報が伝わっていないのも、わかる。ほーじくんが封印をつかえなかった場合、封印はどうでしたか、なんて訊かれたら可哀相だから、その情報自体が秘匿されていたのだろうな。
感想ありがとうございます。はげみになります。




