表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3446/6872

3306


 警報が鳴っている。

「隠れて」

 妹の手首をひっぱって、別の部屋へとおしやる。チャタラ、一体だけじゃないのかよ!

 背に腹はかえられん。「お兄ちゃん!」どうしようもないので、俺はチャタラへ向かって走っていった。

 こいつはだいぶ、こっちに強いやつみたいだな。弱ってるけど、しゅうしゅう云いながら5mくらいとびはねている。ケースに飛びのって更にジャンプすればその分距離が出る訳で、灯はこいつがぶちあたって壊したのだろう。その証拠に、チャタラの体にはがらす片が幾つか刺さっている。

 俺は走った勢いのまま、思い切りチャタラを蹴りとばした。


 魔王のスキルは有効だったらしい。俺の蹴りはお世辞にも綺麗なものではなかったが、チャタラは飛んでいった。妹や学芸員達から距離ができた!

 チャタラへ駆け寄って、低声(こごえ)で云う。「使役」

 大丈夫だ、使役できた感覚がある。チャタラがこちらを見て、怯えたように後退る。

「マルジャンのとこへ行って、逃走と捕食以外には魔法をつかわずに隠れてて」

 低声(こごえ)で命じると、チャタラは右後ろ脚をひきずりながら、外へ出て行った。怪我はひきとれないが、状態異常はひきとっておこう。

 あたらしく使役したチャタラから状態異常をひきとったら、吐き気と眩暈で、俺は立っていられずにその場に片膝をついた。


「無理せんでよ」

「ああ、もうせん」

 妹が俺の顔を、ぬらした手巾で拭っている。警報は停まった。灯は壊れたままだが、バルーン投光器が持ち込まれ、明るい。

 俺はおそれおおくも、じゅうたんのケースに寄りかかっていた。明るいので、惨状が見えた。チャタラはむちゃくちゃ暴れたようで、俺が寄りかかっているのとは別のじゅうたんのケースを割って、中身をひきずりだしていた。現場検証だなんだですぐに片付けしてはいけないらしく、学芸員が警察官にくってかかっている。「この品が幾らすると思ってるんですか?! それにこれは、重要な資料なんですよ!」

 警察官は弱った様子だったが、警察もお仕事で来ているのだ、証拠品を集める作業や、写真を撮ったりなんだりがあるのだろう。

 両親はどこかのお部屋に居るらしい。ほかのお客さんも一緒だ。ここに居るのは、チャタラの襲撃で怯えきった学芸員と、なにもできなかった警備員達、カウンタの奥に隠れていた受付嬢、俺と妹だ。みんな、事情を聴かれている。

「それじゃあ、蹴ったんですね」

「はい。なにか、問題になりますか?」

 俺と妹の聴取をしている警察官は、困り顔で小首を傾げた。UMAを蹴ったらどんな法律にひっかかるか、考えてくれているらしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ