3291
チャタラは地面に丸くなる。俺は近くに行って、様子を見た。
毛艶は、最初に見た時よりはいい。顔は相変わらず可愛くない。どうせならもっと可愛い魔物がよかったな。「はねてみて。できる範囲で一番高く」
チャタラは億劫そうに四肢を伸ばし、ぴょんとはねる。だが、どうもジャンプ力が低い。2mくらいしか上がっていない。こいつら、調子いいと5mくらいとぶんだけどな。
チャタラは律儀に何度もはねるので、休んで、と云って辞めさせた。なんか、元気ないな。
「おなかすいてるの?」
チャタラはゆっくり、左右に揺れた。「それは、減ってないってこと?」
チャタラはしゅうと鳴いて、上下に揺れる。
使役しているので、俺に対してどう振る舞えば通じるか、わかっているのだと思う。会話できなくても、意思の疎通ははかれるようだ。
「じゃあ、なにか不調があるんだ」
それは質問ではなかったが、チャタラは上下に揺れた。顔が可愛くねえー。
外傷らしいものはない。一応、収納空間からサローちゃん作の傷薬をとりだして、軽く振りながら必要かどうか訊いてみたが、チャタラは軽く左右に揺れた。怪我を譲ってと云っても体のどこかが痛くなったりはしないので、本当に怪我はないようだ。
じゃあ、どうして元気がないんだろう。
魔力薬をとりだすと、チャタラが反応した。しゅるしゅる、と鳴く。魔力の枯渇だったのだろうか。
だが、丸薬をひと粒あげると、充分だったみたいでそれ以上は服もうとしない。うーん、魔力の枯渇だったら、このくらいでは足りないだろうし、なんだろう。
「状態異常?」
それはありえないと思いつつも、ためしに口に出してみると、チャタラは頷いた。「え? 全部譲ったんじゃなかった?」
チャタラは不服そうに、しゅーっと威嚇のような音をたて、頷く。俺に状態異常を譲った後に、もう一度状態異常になってしまった、ということ? いまいちわからない。
「メニュー、ひらけたら、わかるんだけど。メニュー」
だめもとで云ってみると、目の前にぱっとウィンドウがあらわれた。ええー。
俺は一分くらい、うずくまっていた。なんかもう、色々とおかしくなっている。意味がわからない。本当に。
俺がショックをうけているのがわかったのか、チャタラが俺の肩を軽く叩いた。なぐさめてくれているらしい。顔可愛くないけど、いいやつだな。
気をとりなおし、立ち上がって、メニューをしっかり見た。チャタラの不調の原因は、使役中生物一覧を見ればわかる筈だ。
その画面にすすもうとして、自分のパラメータになにかおかしな文言が書いてあることに気付いた。
「封印解除まで:4931346508秒」




