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妹の女友達ふたりがぴょこぴょこしてせがむので、妹は彼女達を俺に紹介してくれた。ショートボブがしずくちゃん、お団子がなっちゃんだ。ふたりとも元気がよくて、かっこいいですねえとか素敵なお兄さんが居て羨ましいとか云っている。男の子も流れで紹介してもらったが、女の子達と違って彼は喋らず、数回会釈しただけだ。妹の友人達は、なかなかに濃い。
俺は三人に微笑む。
「はじめまして。國立真緒です」
「えっ」
「あ、え、嘘」
ふたりが手を握り合って、ぶんぶんしている。妹が苦笑いのまま云う。
「お父さんもお母さんも、悪ふざけだったんだよ、わたし達の名前」
「なに云ってんの、そんなことじゃないじゃん」
「あのあの、もしかして、真緒ちゃんですか? 悪霊小学校出てた」
浅く頷く。ふたりはわーっと云って、それぞれショルダーバッグやハンドバッグを猛烈な勢いであさりはじめた。
と、あーくんがすいっと近付いてきて、黒っぽい服のポケットから、メモ帳らしきものと、小さなペンをとりだした。「ファンです。サインください」
まじで?
その場で三人にサインを書いて渡し、写真撮影にも応じた。さすがに、もろいところのある妹の友人をしていられるだけあって、三人とも礼儀正しく、多くのものは望まなかった。ついでに、世間のごく一部を騒がせているスキャンダルについても、なにも訊かれはしない。
それよりも、俺が出ていたのがお化けのいっぱい出てくる青春ホラーだった(しかも俺はケセランパサラン役だった)からか、それとも三人ともその手の話が好きなのか、ネットニュースで見付けたばかりだというUMAの話をしていた。「大きなくもみたいなおばけが出るんですって」
「あのあの、真緒さんは妖怪とかUMAとか信じます?」
「居たら面白いとは思うけど」
面白いと同時に、こわいかもなあ。あっちで散々、魔物の脅威にさらされながら薬材採集してきて、謎の、しかも好戦的な生きものは、かなり厄介なものだと認識している。
「まあ、こわいことがないなら居てもいいんじゃないかなと思う」
「こわい?」
「戦ったりとか。どっちの為にもならない感じだし」
軽く首をすくめる。魔物ったって、ニーバグみたいにおとなしく……はないけど、人間を攻撃しようとはしないやつもいるし、そういう友好的なものとはわざわざ争って双方疲弊する必要はないと思う。
俺の答えは三人を納得させたみたいで、成程ーとかそうですねーと返ってきた。男の子も頷いている。
誤字報告ありがとうございます。助かります。
感想ありがとうございます。はげみになります。




