表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3413/6870

3273


 大学はいいのか、と訊きそうになったが、辞めた。妹は自分から喋ること以外を詮索されるのは嫌う。妹のいいところは、話をしている相手が答えに詰まったり、いやそうにしたら、それについて追求しないところだ。自分がされていやなことは、他人にもしない。そういう性格をしている。

 妹が立ち停まり、大きな駐車場を備えているアパレルショップを指さした。「寄っていい?」


 妹は新しいタイツや、下着類、ワンピースなどをかごにいれ、レジカウンタへ持って行った。「おごろうか?」

「んーん。お兄ちゃん、なんか買わないの?」

 頭を振った。下着類は、山程収納してある。こちら製の服は家のクローゼットにあるから必要ない。少なくとも、今は。

 カウンタの前には行列ができている。フォーク並びだ。妹がおすすめのジェラートについて喋るので、俺も一緒に並んだ。隣にいるだけだから、邪魔にもならないだろう。「えっとな、チョコもおいしいけど、ピスタチオも好き」

「メロンとかすいかとか、あった?」

「すいかはあったで」

「うまかった?」

 妹は満足そうにこっくり頷いた。これは、すいかが狙い目かな。

 妹の番が来て、精算はケータイですぐに終わり、俺は荷物をひきとる。持てと云われた訳ではないが、兄貴面したいものなのだ。

 お店を出たところで、わっと、華やいだ声がした。妹がそちらを見る。「あ、しずく、なっちゃん」

「友達?」

 頷く妹が見ているのは、妹と同年代の女の子ふたりだ。片方がショートボブで、片方がお団子。妹の友達は、家に遊びに来た子は知っているが、それ以外はわからない。このふたりは俺にはわからないふたりだった。

「大学の友達」

「へえ」


 ふたりが小走りにやってきた。同じ、黒のワンボックスカーから出てきたようだ。もうひとり、黒いマスクをした男の子が降りてきた。シルバーアクセサリを身につけ、髪はアッシュゴールドで毛先がピンクだ。地毛……ではないよな。あっちでは、ああいう地毛のひとも居た。

 妹が手を振る。「しずく、なっちゃん、あーくん。買いもの?」

 女の子ふたりが妹にとびついた。妹もまざって三人で笑う。遅れてのんびり歩いてくる男の子が、俺に軽く会釈した。

「うん」

「そっちはデート?」

 またしても誤解されたらしい。俺と妹は、苦笑いで一瞬目を交わした。それから、妹が云う。「違うよ、お兄ちゃん」

「えー! こんなかっこいいお兄さんが居るなんて聴いてないよ!」

「云ってないもん」

 友達相手だと、妹の方言は完全に消えている。やるじゃん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ