表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3407/6871

3267


「休みなのに、でかけないの」

「この間までバイトがあったから」

 どうでもいい話をしているな、と思う。

 手鍋にお砂糖やお醤油をいれた。妹が、まねしてもお兄ちゃんの味にならないんだもん、とふてくされていたから、味付けは俺がすることになったのだ。

「ああ、いつもは今の時期、バイトなのに、今はしてないんだ?」

 こいつはワーカホリックだ。その上、ゲーム中毒で、大食漢でもある。おじさんの旅館の仕事もしているくせに、ほかに幾つもバイトをしたり、どこかに助っ人にはいったり、いろんなことをしているので俺もすべてを把握できていない。

「もらい火で火事になってしもうて、工事中」

「え、まじで?」

「まじで。だからお休み。どうせならのーんびりゲームしようと思うて」

 妹はちょっと笑い、TVの辺りを示す。そこにはゲームハードが幾つか設置されていた。成程、朝から晩までゲームをするには、実家よりもここのほうが都合がよかったのか。

 妹は手鍋を大切そうに持ってキッチンへ戻る。俺は、ぬるいオレンジジュースを、ストローですすった。オレンジジュースは、()()()みたいにおいしくはない。うすくて、水っぽかった。


 お麩は買い置きがあるし、たまごはさっき妹が買ってきていた。ご飯も一升、保温釜にはいっている。

 俺と妹は、並んで床に座り、ぼーっとTV画面を見ている。どちらもあぐらをかき、ソファに凭れていた。ローテーブルにはかつ丼の容器と、お鍋が並び、妹の傍に保温釜がある。

「やっぱお兄ちゃんの味がおいしい」

「そうか?」

「そう」

「なあ」

「なん?」

「俺もお休みにしようかな」

 妹はなにも云わず、俺の肩を軽く叩いた。


 時間があまり経っていない。俺の記憶が正しければ、俺が()()()から消えていたのは、ほんの数日だったようだ。

 それがどうしてなのか、わからない。単に俺の運がよかった、というのが正しいのかもしれない。タオラのように、おそらく現代から、()()()の相当過去へとばされたひとだって居る。いつどの瞬間、こちらとあちらがつながるか、まったくランダムだとしたら、それはおかしくない。

「そうだ」

 京介さん、伽羅子さん、駒ちゃん、緑珠さん、オオウチ・レンさん、ハセベ・ミライさん。その六人のことを調べれば……。

 調べてどうするんだよ。

 俺はもう、あちらとは縁が切れた。

 もう戻ることもないだろう。

 あちらとこちらの時間がどうのこうのなんて、調べたって意味がない。もう関わりのない世界なんだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ