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 ひとが集中していた地点をぬけると、今度はティッシュ配りとキャッチセールスが襲いかかってきた。ありがたいのでティッシュはうけとり、キャッチセールスは無視する。無視すれば彼らは時間を割かない。野生動物と同じで、餌がとれない場所には固執せずに、さっさと次の場所へ行くのだ。


 みっつ目のティッシュにカーローンの宣伝がはさまっているのを見て、ああやっぱり、まごうかたなきもとの世界だなあ、と思い、足が停まってしまった。

「お兄さん、興味ある?」

「あ、いえ」

 ブリーチでぼろぼろの髪に帽子らしきものをのっけた、だて眼鏡のティッシュ配りのひとは、俺の愛想笑いに愛想笑いを返してきた。「あれだったら、事業所まで案内できるよ」

「はあ」

「車があったら200万まではすぐに融資できるから。これって凄いんだよ、ほかのとこだとよくても80万くらいだし、それにうちは金利がよそよりもいいから」

 このひとは別に、俺に対して下心はないんだよな。そう。それってわかる。

 いや、多分お客さんをつれてったら特別手当とかがあって、いいやつ捕まえたと思ってるんだろうから、そういう意味では下心を持ってるんだろう。

 でも、娼妓やもと・娼妓、髪が短くて着飾っていない男に対するものではない。それとはまったく、質が違う。

 なんだろう。凄く変な感じがする。いやいや、下心ありで接してほしいってことじゃないが、なんていうか、変な感じであるとともにめちゃくちゃ安心できるのだ。あ、俺ってなんとも思われてないんだ、って。

 ずっと気を張っていなくていいって、こんなに安心できることなんだ。


 それにしても、眼鏡なんて、久し振りに見た。片眼鏡は、カンナ先生やチハル先生、ウィダさんみたいな実見者が居て、見慣れたとまではいかないが、驚くようなものでもなかった。実見者の証だから、実見者でないひとがつけていることはほぼなかったけど。

 でも、眼鏡だ。それも、だて眼鏡。ヤシュ・クック・モみたい。

 超絶痛んだ髪のおにーさんは、俺がまじまじと見詰めているので、気まずくなったらしい。愛想笑いがぎこちなくなり、小首を傾げる。俺はにこっとして、ティッシュを軽く振った。

「これ、違法金利ですよね」

「なっ」

 宣伝には、もの凄ーく小さな文字で、最初の三ヶ月は10%、それ以降は30%という、あほみたいな金利が書いてあったのだ。これだったら絶対、大手の金融会社のほうがいい。そういうところでは審査の通らない多重債務者とか、ブラックリストいりしてしまったひとが行くようなところだ。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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