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恩寵魔法はすごいもので、それをつかえるひとは特別天に加護されている、ともある。じゃ、どうしてほかの魔法をつかえないのか。恩寵以外をつかえるひとより不便だ。
しかも、恩寵魔法をつかえるひとは、十割が祇畏士になる。祇畏士と云うのは「行」として(宗教色強めの行いとして)魔物退治をしなくてはならない。特に、年々広がっている荒れ地で。
つまり、恩寵魔法をつかえたら、魔物がこわかろうがなんだろうが祇畏士になり、荒れ地なりへ行って魔物を退治しないといけないのだ。
ちょーっと不公平じゃありませんかね?
冒涜魔法つかえる魔王=滅却!ってのも勘弁して下さいよって感じだが、恩寵魔法つかえても、せいぜい偉そうにできるくらいで恩恵少なくない?
よく考えたら大体日夜魔物退治頑張ってるんだし、偉そうにしても当たり前だ。なんにも恩恵ないな。人生決められて不憫でしかない。
祇畏士にはシンパシーを感じた。魔王だからって悪いことしないのと同じで、祇畏士でも怠惰なひとは居るだろう。義務感とおだてで煽って、体よく働かせているだけじゃないか。
ほかのひとにはできないことだから……という使命感だけで、行をこなしているひとも居るんだろうなあ。
仲好くなれそうな気が……。
……無理か。魔王だし。
冒涜魔法の情報はほぼなかった。つかえるやつはまじやべー、魔王こえー(意訳)みたいなことしか書いてない。脅し文句がずらずら並んでいるので気が滅入った。
冒涜魔法についての資料は、でも御山にはあるそうだ。大変危険な資料なので秘匿されているとか。冒涜魔法はつかわない・つかわせない・かかわらない、がこの世界の常識らしいな。
今朝安易につかってしまったあほだが、さいわいにも、魔法について感知できるひとは居ても、それが何魔法かまでは普通解らんそうだ。まじでよかった。
疲れた。五冊読んだが、宗教と魔法についてちょっとわかったくらいで、もとの世界へ戻る方法なんて解らない。「よそ」から来たという神さまのことがヒントにはなりそうだが、あてにしていいものかどうか。
神話の本をぺらぺらめくる。「荒れ地の向こう」とあったので手を停めた。
荒れ地と云えば、かつて魔王が国を建てたところだ。そのずっと東、この世界的には地図の下のほうに、人間が住んでいるという伝承があるらしい、男の子達が云っていたのはそれか。
出身地も住んでいたところも答えられないし、いっそ荒れ地の向こう生まれということにするかな。
因みに、荒れ地に住んでいるひと達も居ると考えられているそうだ。宗教が違うせいか、かなり悪しざまに書かれていて、それ以上読む気が失せる。
「あ~……」
手詰まり、と思った。




