326
お湯がわいていたし、ついでにパスタをゆがいた。四等分くらいに切って短くして。
スープ皿に、ゆがいたパスタをいれ、できあがったスープを注ぐ。サッディレくんは麺なし。
「セロベルさん」
こと、とお皿をテーブルへ置く。「お夜食できたよ」
セロベルさんがすっと上体を起こした。
目をしばたたき、お皿にはいったスープを見る。
「……あ。マオ、帰ってたのか」
「うん。さめないうちにどうぞ」
サッディレくんがお肉をお皿へ盛りつける。バランス感覚凄い。
アーレンセさんは、野菜スープとお肉の煮込みを、ちょこっとづつ別のお皿へ盛っていた。
俺は、麺たっぷりの野菜スープ。お酒の分解には炭水化物が必要。……食べたいだけだ。
席につく。サッディレくんとアーレンセさんも座って、お祈りをはじめた。俺は手を合わせて、おいしいものを食べられる感謝を心のなかで云った。
「ん」アーレンセさんが麺をもぐもぐ噛む。「これ、おいしいです。スープのなかにいれてもおいしいんですね。もっちりしてる」
「かたいお水でゆがくと、もっともちもちしますよ」
重曹いれたお水でゆがくと、中華麺になる筈。牛肉麺とか担担麺とか食べたい。
かたいおみず、と、アーレンセさんは首を傾げていた。
「うまいな」
セロベルさんはスープをふうふうさましてから口へ含み、小さく云った。
「そう。おかわりありますよ」
「……一番最初も、お前いつの間にか料理してて、寝てた俺を起こしたよな」
ああ、そうだったな。セロベルさん、あの時凄く疲れてた。
見てみる。セロベルさんは、少しお肉がついた、と思う。少なくとも、ひょろ長い感じではなくなった。このまま元気になってくれればいいけど。
お皿洗いはセロベルさんがやってくれるそう。任せた。
サッディレくんとアーレンセさんが、お湯を用意してくれて、ありがたくお風呂にはいった。寒さに強張った四肢がほぐれ、眠くなってくる。
リッターくん、あの後首尾よく帰れたろうか。ひとを担いで移動なんて、見咎められたら大事だ。
お風呂を出て、部屋に戻って寝た。歯磨きはお風呂で済ませている。ベッドは、ブランケットが増えて、もぐりこむとあたたかかった。
「おはよーマオ」
「おはようメイラさん」
今朝も、メイラさんは素振りしている。「ご要望は?」
「なーんでも。あ、今日はお弁当お願い。戻れそうにないから」
「はーい」
欠伸が出てしまった。ねぶそく。




