32
ドールさんが、洗濯物はないか確認に来てくれた。
洗い髪でぼけっと突っ立っていたので眉をひそめられる。洗濯物は干してくれるそうなので、渡した。
「髪、ちゃんとしてね」
「はい」
多分叱られたのだろう。
ドールさんが居なくなり、腕環をつけてから、髪をなんとかしようと頑張ってみる。編み込みは尋常じゃなくむつかしい。出来なかった。
ピンは、一本足なので、挿してもするんと落ちるだけだ。うぐぐ。
結局、おもやまで行き、ドールさんにたのんで編んでもらった。
「すみません」
「ううん、気にしないで……はい、出来たわ」
「ありがとうございます」
ドールさんは含羞んで笑った。
晩御飯まで本を読んだ。魔法についてだ。ダストくんの説明より、もう少し詳しかった。
水を出す、とか、火をつける、などの、単純なことは、魔力さえあれば大方ができる。
それ以外のつかえる魔法は、「井」(で、正しかった。神社か教会のような、宗教施設らしい)で見ることの出来るパラメータに表示される。魔法一覧と同じだろう。
その魔法名を云うなり、思い浮かべるなりすればつかえる。あとは、自分がやりやすいなら魔法名をかえてもいい。その名前が定着すると、表示がかわることもあるらしい。
ヤームさんが、湧水、と云っていたが、あれは水を出すきっかけとして云っただけで、魔法名ではないようだ。一覧表に乗っていなかった。
ひとによって、つかえる魔法つかえない魔法があるのは、属性やなんかが関わる? よう。
よく解らん。ものによっては、修練を積めば新しくつかえるようになることもある……とか。レベルアップで新しい魔法を覚えた、って感じか。
とりあえず、今現在判明している魔法は、「恩寵」「冒涜」を除く六種類では、やっつづつ。
6×8=48だから、多いのか少ないのか、どうなんだろう。それに加えて、新魔法もたまに見つかる。「恩寵」はつかえるひとが少ないし、「冒涜」は資料がほぼないから判断はできないが、おそらく8×10か、8×12あるのではないか、と書いてあった。
変だなあと感じたのは、恩寵魔法について書いてあるところだ。
恩寵魔法をつかえるひと達は、半分くらいがほかの魔法をつかえないらしい。魔法一覧に恩寵魔法しか書いていないのだ。少しの水や火を出せない場合もある。
じゃあ水魔法が得意なひとが熱魔法を苦手としているかというと、そんなことはない。「恩寵」「冒涜」以外全部をつかえるひとはめずらしくない。
なんか、おかしくない??




