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 なんとなく哀れを催した。

「ん」収納空間からマグをとりだす。牛骨のストックからつくった、根菜とたまねぎのスープを注ぐ。「これ。飲んで」

 さしだすと、リッターくんは手袋をした手でマグをうけとったが、きょとんとしている。

「寒いでしょ。体壊すよ」

「……ありがとう」

「しもやけができる前に帰ったら」

 云いおいて、門へと向かう。


 今日も、生き証人さんは、まずそうなサンドウィッチをかじっていた。「よお、マオ」

「どーも」

 名簿に名前を書く。

「昨日の話だけどな」

 筆をおいた。「……うん」

「ちょっと待っててくれ。こっちも色々調整しないとなんでな」

「解った。ありがとオニイサン」

「ああ。それとな、酒は安もんしか出せねえとよ」

 そりゃ残念。


「糖蜜いれて。それくらいで。で、蒸留酒。ミントってない?」

 色々と注文を付けて、蒸留酒+糖蜜+スペアミント精油+ライムとりんごの輪切り+オレンジの搾り汁というなんちゃってサングリアができあがった。おいしいかは好みの別れるところだが、まずくはないかな。

 それで解った。バーテンのおねえさんは素人。少なくとも、お酒の知識はない。帯剣しているから、なにかあった時の戦闘要員なのだろう。

 おつまみは、ビスケットに、油とお塩で和えた角切りのフルーツをのせたものと、チーズをスライスしたもの。単純だけどおいしいよね。

 おつまみのお皿とゴブレットを手に、サア賭けごとだ。今日も負けるぞ。


 ルーレット……ちょっと勝ち。

 ちんちろりん……負け。

 ふたりで対戦するやつ……大負け。

 来て一時間くらいだろうに、銀貨100枚以上すった。賭けってこわい。

 うーん、もっとすらないとだめかなあ。お金借りない? っていうのを待ってるんだけど。

「あんた、これ好きなのか?」

 我に返った。

 さっき俺から銀貨70枚まきあげたおにいさんだ。今日もなにかの葉を噛んでいるし、今日も例のややこしいゲームのテーブルにはりついている。

 俺はにこっとする。「好きっていうか、負けるとむきになっちゃう。えへ」

「そりゃいいね。人間として当たり前だ。負けりゃ悔しくてまたやりたい。勝ちゃ嬉しくてまたやりたい。賭けってそういうもんだろ。もうひと勝負どうだ?」

 うけてみた。今度は勝ちだ。

 おにいさんはにやっとする。「もうひと勝負だ」


 結局、十回くらい勝負して、負けた。さいころの振りかたにこつがあるのかな?でも、どっちが勝つかは解らないのに。

 収支がそろそろマイナス銀貨200枚になろうという頃、シアイル系のおにいさんが声をかけてきた。「勝負しないか?勝ったら有り金全部やる。まけたら一晩相手してくれよ」


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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