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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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 お菓子がなくなった。

 お礼を云い、リーリさんが管理しているかまどを明日見に行くと約束すると、三人は帰っていった。

 片付けを手伝った。

 せっけんはこの世界にもある。スポンジはなくて、ごわごわした布でお皿を洗った。「あ」

「……なあに?」

 ……うーん。すすめられていないということは、ないんだろうが。

「おふろってありますか?」

 一応訊いてみる。ドールさんは小さく頭を振った。

「この辺では、川で体を洗うわ」

「あ……そうですか……」

「庭の隅に、池があるから、うちではそこをつかうの。マオ、水浴びしたい?」

 頷く。……ただし着替えはない。


 ドールさんはその辺のことも考えてくれていたらしい。片付けが終わると、下着をふた揃いと、この辺のひとっぽい服、それにせっけんとタオルを渡してくれた。

「服は、ダストのお古で悪いけれど……」

「じゅうぶんです。ありがとうございます」

「明るいうちに済ませたほうがいいわ」

 はいと頷いて、いったんはなれへ戻った。用足しを済ませ、濡らしたら悪いかなと思って腕環や髪飾りを取る。棚の上へ置いた。

 着替えと、石鹸、タオルを持って、ドールさんに教わった場所へ行く。

 池は、はなれの真後ろ、少し行ったところにあった。小川から水を引いてあって、周りは木々に囲まれ、その木々が目隠しになっている。

 脱いだ服はその辺の木にひっかけた。水にはいる。そこまで冷たくはないが、はやめに切り上げたほうがいいだろうな。

 下着類や、汚れが目立つものをてばやく洗い、しぼって木へひっかける。そのあと体をよく洗った。あったかいお風呂にはいりたいなあ。

 ざばっと、頭まで水へはいった。戻る方法を考えなくちゃ。神話にあった「よそ」が異世界だと考えるなら、こちらへ来れたんだから、戻る方法だってあるのじゃなかろうか。御山(おんやま)にいるという、偉い学者さん達なら、なにか知っているかも……?

 頭を出した。視線を感じて左へ目を遣る。

 木々の隙間から、十歳前後の男の子達が、こちらを覗いていた。


 きゃーっと叫んでいなくなる。おう。こっちのせりふだわ。

 まさか異世界くんだりまで来て覗きをされるとは思わなかった。しかも男の子に。

「……さむ」

 水から上がる。ぶるぶるっと頭を振って水けを飛ばし、乾いたタオルで体を粗方拭いた。下着、ずぼん、チュニック、と身に着ける。

 足裏を洗って拭き、靴を履く。それは片足づつ。

 袖まくりしてタオルを洗い、木にひっかける。上着とベルトを着け、マントを羽織り、生乾きの洗濯物を回収して、はなれへ向かう。どっか干す場所あるかな、洗濯紐かりなきゃ、と考えているうちに辿り着いた。

「……あ」

 ピアスも髪飾りもつけていない、髪の短い人物が、池から顔を出していたのだ。男の子達は、結婚適齢期のお姉さんだと思ったのだろう。

 なんだかばつが悪かった。


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