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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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3


 違った。


 余ったポイントをアイテムに変換します


 まだ余ってたのか。残りポイントが表示されないから解らなかった。


 入手:「傷薬・魔力薬詰め合わせ」「貝貨袋(小)」「銀貨袋(小)」「鹿皮の鞄」「詰め合わせ(並)」


 貝貨というのはお金だろう。なにもないと困るものなあ。薬系も助かる。


 スタート地点:ランダム


 はっ? もう開始?

 種族とか信仰とか選んでないけどいいの?

 それに、ランダムって、それくらい選ばせてくれてもいいじゃないか。夢なんだしさあ……。


 お疲れさまでした

 まもなく開始します

 ・

 ・

 ・


 ✕


 なんか痛い。

 肌がひりひりする。口のなかになにかはいっていて、咽が痛い。「うえ」

 跳ね起きた。砂だ。砂に半分埋まっていた。公園の砂場、無くなった筈なのに。

 ぺっぺっと砂を吐き出した。風が吹いて砂が巻き上がる。目を瞑って腕で頭を庇った。足が砂に埋まってゆく。なに、これ?

「さばく?」

 ……ドラッグストア帰りに沙漠に辿り着いた?

 いや、あれは夢で、だからこれも夢で、まだ目が覚めていないんだな、そっか。

 四辺を見る。岩山と砂。沙漠だ。リアルだな。

 えっと……服装は、夢でドラッグストアに行った時と同じ。シャツにずぼんにパーカ、靴。……皮製品っぽいポーチ? がベルトに通っていた。これは覚えがない。

 風が吹いた。フードを被るといくらかましだ。被っておこう。

 と。

 足元にあるものに気が付いた。

 リュック。エコバッグ。

 十秒くらい停止していた。それから屈み込み、なかを改める。お米の袋が目にはいった時に心臓がどきどきしはじめた。砂糖の袋に、塩の袋に、チョコレート、グリセリン……ドラッグストアで買ったものだ。

 まあ。夢だし。夢。

「えっと……メニュー?」

 ぱっと、目の前にウィンドウがあらわれた。夢じゃん。ゲームみたい。


 名前:國立・真緒/クニタチ・マオ

 体力:可 魔力:優

 職業:魔王

 Lv:1

 特殊能力:収納空間 Lv.MAX

 言語:異世界 Lv.MAX

 悪しき魂

 魔物退治(職業)

 使役(職業)

 状態異常無効(職業)


 ああ、さっきのキャラメイク通りだなあ。

 収納空間を開いてみた。開こうと思ったら開けたのだ。なんか……裂け目? みたいのが、ある。眼鏡のレンズが割れたみたいに、景色がちょっとずれてる。触ってみると指が消えた。手を引っ込める。見えなくなっていただけか。

 ……リュックとエコバッグを投げ入れてみた。はいる。取り出せる。またはいる。ワア凄い。

 じゃない。なんだこの夢は? 意味が解らない。なんかリアルだし、目に砂がはいって痛いし、咽が乾いたし、はやく目覚めたい。

 パーカのポケットからケータイを取り出した。圏外。夢のなかで?

 なんとなくいやな感じがして、電源を切ってポケットへ戻す。

 ポーチのなかを見てみる。がらす壜が数本。中身はきらきらしている。A6くらいのサイズのしっかりした布袋は、なかに綺麗な貝殻と、形の不揃いな銀貨がはいっている。あとは、なんかよく解らない石と、なにかの繊維みたいなもの、小枝の束。塩の塊(といってもピンポン玉程もない)のはいった皮の小袋。

 がらす壜は、薬の詰め合わせ。

 財布は、貝貨と銀貨。

 後のは「詰め合わせ(並)」か。

 ……動いてみよう。とにかく歩く。そうしたら、こんな、……。

 へらへら笑いながら歩き出した。夢なんだ、覚めるんだ。そう思いながら。

 躓いた。転ぶ。「痛い」ころんと転がってから立ち上がった。何に躓いた?

 確認して後悔する。でっかい……みみず? いや、むかで? みたいなのだった。虫は平気だけどこの大きさは駄目だって。

 そいつが鎌首をもたげた。ああ、フトマルヤスデか。図鑑で見たことあるわ。でも、こんな大きめの抱き枕みたいなサイズではなかったなあ。

 踝を返して走り出す。無理無理無理無理なにあれ。新種? 違う違うここは夢、夢、夢、夢、夢だからはやく起きろ! やすでにくわれる夢なんて見たくねええ!

 やすでが追いかけてきた。音がしている。やめてまじで。おいしくないから。全然おいしくないから!

「あ」

 転んだ。普通に、砂にあしをとられて転んだ。終わった。

 やすでが迫ってくる。お口が可愛い。虫はどちらかというと好きだがこれは。

「にゃああああ!?」

 恐怖に駆られて四肢をばたつかせた。昔百足にかまれた時もこれやったな。進歩がない。

 右手と左足がヒットした。「!」やすでがぴょいっと飛び跳ねる。体液が散った。え?

 ずざざざざ、と、砂に潜っていった。後に残ったのは、黒茶色の体液が少し。


 ……。

「……にゃーってなんだよ……」

 なんかはずかしい。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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