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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
祇畏士(みならい)さま、魔王を追ってくる
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 こちらを見ているお姉さんの目がまるくなり、顔から血の気が引いた。

 すみません、ともう一度謝ってくるが、あきらかに声に力がない。「あの……ほんとに、わたしが責任を持って、弁償しますので……」

 くるっと目がひっくり返った。

 倒れたお姉さんを、セロベルさんが抱きとめる。エウゼはあおくなって喚いた。「ルッタねえちゃん!」

「騒ぐな。メイラ!」

 セロベルさんはお姉さん=ルッタさんを抱え、歩き出す。「ぼうず、部屋貸してやるからねえちゃんについててやれ。メイラ、恢復(かいふく)魔法頼むわ!」

 高いよ、と、庭のほうからメイラさんが応じた。


 セロベルさんが客室のひとつへルッタさんを運び、エウゼくんもそれへついていった。

 メイラさんに応急処置を任せたセロベルさん曰く、弟がしたことで夜も眠れなかったのだろうとのこと。

 警邏隊経由での情報だそうだが、エウゼくんは一年前から半年前くらいまで井にいて、半年前に悪い仲間に誘われて井を抜け出した。姉であるルッタさんは働きづめで、弟は井に居るものと思っていたらしい。それが巾着切りをしていたのだから、ショックで眠れなくもなる。

 メイラさんの見立てでは、疲労と気疲れ。寝ていれば治るだろうと、疲労に効く恢復魔法をかけてくれたそう。エウゼは終始黙り込んで、まっさおだった。

 市場への買い出しは、今日もセロベルさんと一緒だ。

「ちゃんと寝てねえうえに、侘びにまわるので疲れたんだろ、ほうぼうで散々怒鳴られたろうからな」

「……加害者が被害者の住所や勤め先を知ってるって、いいんですか?」

 二次被害とか、逆恨みでの報復とか、ありそうなものだが。

「心配ねえよ。知ってるってことを()()()()知ってるんだぞ。逆恨みでやり返してみろ、一発で荒れ地行きだ。そういう場合は家族や監督してる人間もまとめて荒れ地に送られたりするからな、なにより家族が監視してる」

 成程。


 買い出しを終えて戻り、元種の具合を見た。いい感じなので、液種と粉をつぎ足し、かきまぜて放置。

 メイラさんのリクエストなので、今朝のメインはオムレツだ。それに、パンケーキと、ドライトマトとお豆腐のサラダ、ピーマンとパプリカのポタージュ、とうもろこしいりハンバーグ。ソースは、たまねぎのみじん切り・バナナ(甘いやつ)を潰したものをよく炒め、人参とその葉っぱ・根セロリ・ドライいちじくなどを刻んで加え、お塩・こしょう・お醤油・お味噌で調味してとろみを出したもの。ドミグラスソースに近い風味と味かな。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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