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そもそもどうして異世界に飛ばされたのかも解ってないのに、どうやって来たかもまったく見当つかんのに、戻る方法なんて解るか! うわあああどうしよう。
死んだら現実へ戻るやつ、漫画でなかったっけ? いや夢だから死んでも転生できるだっけ? わすれた。
まじでどうしようもない気がしてきた、っていうかどうしようもない。だってきっかけが解らないもの。俺はドラッグストアで買い物して家に帰る途中だったの! 沙漠なんか目指してないの!
クッションをぎゅーっと抱きしめてごろごろしながら、声にならない悲鳴をあげる。
ナジさんが、魔王は昔めちゃくちゃ悪いことをしたひとの職業だと云ってた。ダストくんも、魔王は例外なく悪いやつだって。魔王であることがばれたら、血祭りにされる。だって、弱らせないと滅却できないのだ。
もしかしたらさっくりと一刀両断にでもしてくれるのかもしれないがそれでも痛いだろう。いたいのはやだ。
フォージくんの鳥みたいな目を思い出してぞわっとする。無表情で、じーっと見詰めてきていた。あれ、気付いてたのじゃないか? 泳がせといて、無防備になったところを……。
ぱっと跳ね起きて、かんぬきをかけた。窓はすでに錠がおろされている。
ひとまず安心?
「うう~、どうしてこんなことにい」
ベッドへダイブした。
うちのベッドより適度にかたくて寝心地がいい。こんな情況じゃなきゃぐっすりなのに。「……逃げたほうがいいのかな~」
ここに居るのはやばい気もする。それに、大雑把だが地図は頭にいれた。
……もう少し「祇畏士」の情報が欲しい。てきをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず、だ。
うまいこと、自然に聴きださないと。くう、このベッドいい、凄くいい。ねむたい。歯磨きしてないのに。
欠伸が出る。寝て起きたらもとの世界に戻れてないかな。
せめて、魔王だの悪しき魂だのが夢であってほしい。牧童が外れだ採掘士がはずれだと云っていたが、そのふたつになったからと云って身の危険はないだろう。こっちは! 強制的に魔王にされて! 転職出来ないんだ!
というか、魔王って職業なのな。どういうことだよ。
人心を惑わすとか云われましてもね。誰か味方につけたらいいことあるかな? 祇畏士とかいやーむりか。魔のものがわかるっていってたもん。ああーもうだめだー。
ひとしきりじたばたしたあと、気付かない間に寝ていた。




