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「ナジ長老……あれ、いない?」
セムくん達がはいってきた。「マオだー」
駈け寄ってくる数人へダストくんがクッションを投げつけた。こちらもおばさんのおかげか、カラフルな毛糸で編まれたカバーがかかっている。
セムくんがクッションをキャッチした。口を尖らせている。「なにすんだよ」
「ばか。あんまりマオに馴れ馴れしくするな」
「自分はどうなんだダスト?」
「俺は父さんに頼まれたの」
ああ、そういえば、迷い子と思われているんだっけ。
ぽりぽりさくさくとクッキーを噛む。これ、レシピ教えてほしい。うまーい。
セムくん達とダストくんはなにやらもめていたが、結局和解したのか、仲好く座る。セムくんがにこにこ顔で訊いてきた。「さっき話が途中だったろ。マオって幾つなんだ?」
「にじゅうよんさい」
クッキーを食べながら答えた。まじで停まらん。
一拍あって大笑いされた。だから何故。
それから男の子達のお喋りが始まった。ダストくんがそれぞれに給仕し、収納空間から取り出したクッキーを配る。お喋りが好きなのか、みんなひっきりなしに喋り、お茶がどんどん消費されてゆく。
トレーが空になった。未練がましく見詰めていると、ダストくんに頭を撫でられる。「マオ、晩飯もあるから」
「……このおかしおいしい」
「おいしくても食べすぎるとヤームさんみたいになるぞ」
「ヤームさんは結婚してから肥ったんだって、本当かセム?」
「らしい。父さんは甘いものが好きだから」
喋る速度も量も凄い。
お手洗い借りていい?と訊くと、ダストくんが案内してくれた。裏口からでて暫く歩くと公衆トイレみたいなのがある。洋式で水洗だった。水はどうしているのか訊く。
「溜めてあるけど、マオは水出せないのか?」
「やーむさんみたいに?」
「うん」
「やったことない」
魔法って、そんなにぽんぽんつかえるものなのか?
ダストくんが水を出してくれた。ヤームさんほどの勢いはない。「こんな感じ。大体誰でもできるよ。収穫中は、無駄に魔力をつかわないようにって、係を決めてあるけど」
「水以外も出せるの?」
「火は出せる。風も」
ダストくんの指先から火が出た。ライターくらい。ダストくんはそれを消す。「ヤームさんは「深潭の魂」を持ってるんだ。だから水の魔法の適性が高い。職業は「氾濫士」」
……頭がぐるぐるしてきた。情報量が多すぎる。
用を足した。柔らかめのわら半紙みたいなので拭くらしい。痛かった。
庭の小川で手を洗いつつ、ダストくんに魔法について教えてもらった。
ややこしいので忘れないうちに書いてしまいたい。




