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天板をとりだす。「おお」
「いい香り~」
「まあ、おいしそうですね」
巧くいったっぽい?
香りは上々。ぱりっと焼けてるし、黄金色だ。おいしそう。
おっと、よだれが垂れるところだった。危ない危ない。
リエナさんが生唾をのんだ。
「……味見します?」
味見はした。セロベルさんと四人で。で、かなりおいしかった。
ついでに、とりのあしのほうも四人で味見する。味が濃いけど、表面にしかたれが絡まっていないから、食べ終わる頃には丁度いい。
「こっちが旨いな」
「あら、わたしはこっちが好き」
セロベルさんはとさかのパイ、リエナさんは甘辛もみじ派だ。「それはこってりしすぎで量はくえないだろ」
「周りのパンがあるからおかずにならないでしょ」
どっちも譲らないなあ。別の場所の喧嘩が波及してきてる。
ふたりがこちらを見た。「マオと母さんは?」
「どっち?」
グロッシェさんと顔を見合わせた。
「両方かな。それぞれおいしい」
「わたしは、とさかを揚げたものが好きかな」
セロベルさんとリエナさんは、ちょっと口を尖らせたが、納得はしたらしい。痴話喧嘩かな?かわいい。
できあがったとさかパイと甘辛もみじを、リエナさんへ託した。
件の夫婦はレントからすぐ近くの村に住んでいるし、昼間なら安全だということで、届けてくれるそう。それに、レント近辺は、毎日のように警邏隊が魔物討伐に出ているしね。
お礼にと、とりのあしととさかは全部くれた。し、バター代もリエナさん持ちだ。とりにくを卸してくれなくなったら、新しい農家さんをさがして、品質がいいか調べて、よかったら交渉して、と、手間がとてもかかる。なので、助かったらしい。
五時のお茶の時間まではまだある。リエナさんを送りだしてから、仕込みをした。
麺があると知ってから、パスタ食べたいんだよな。売ってるのがあの子だけとは思えないし、とりあえずソースだけでもつくっておこう。別の料理に応用がきくし。
簡単なトマトソースだ。
セロリと人参を粗みじんにして、多めの油で炒める。多ければ多いほどおいしいので、たくさん用意する。セロリは、粗みじんだと気にならないから筋はとらない。
とろっとするくらい炒めたら、同じ量のセロリと人参を加え、お塩を多めに振り、マッシュルームの厚切りとトマトの角切りもいれてざっとまぜる。
あとは、トマトの角が取れるくらいまで煮込む。ここから派生させるから、お肉や香辛料はいれない。




