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お昼ご飯を沢山食べて、歯磨きと用足しをすませ、俺達はまた出発した。
午后は、俺達が神聖公国寮。今度はお洗濯だ。焦った様子のランスさんやディロさんが気になったけれど、食事がすむと会話する時間はなかった。
朝とは別の廊下を通りぬけ、隠し扉を通じて神聖公国寮へ辿りついた。こちらは、神聖公国寮の裏手にある林のなかだった。こっちの隠し扉は、奉公人寮からしか開けることはできないから、変に隠す必要もないんだって。
「役割を分担したほうがはやいね」
ずらっと並ぶ、中身があるネームタグ付きの籐かごを見て、アロさんが云った。俺達は頷く。
一番大きな洗濯場は、奉公人寮にある。けど、各寮にもちゃんとある。帝国寮の裏手にも存在しているらしい。
実際、洗濯ものの量だけでいえば、一番大きな洗濯場だけでも不可能ではないみたい。でもそうやって各寮に洗濯場を設けていないと、どこで洗濯が行われているのか、と学生達に怪しまれる。それに、家政職もしくは家政職志望の学生達が、家政魔法を練習する為でもある。
で、制服のシャツとか上着、ずぼん、スカート、ネクタイは、洗滌人でないと洗うのが難しい。だから、大きい洗濯場に運ばれる。それから研究でつかわれる特殊な素材の服もね。
でも、下着類なら普通の奉公人でも洗える。あと、神聖公国寮に限っては、令嬢達のドレスや下着が半端じゃない量な上に、物理的ではない理由で洗濯場に持ちこむことは難しいのだそうだ。ジーナちゃんを見ていたら解るけれど、神聖公国の高位の女性は、日に何度もきがえる。
制服を洗うのは難しいと聴いて、サフェくんが困ったみたいに俺を見ていた。いやいや、あれきゃらこっぽかったし、がしがしいって大丈夫でしょ。足袋なんて洗濯板でがーってやってたぜ俺。あ、上着とか、型崩れするかもってこと?
「じゃあ、新入りさん達に洗いを担当してもらう。僕達はゆすいで乾かし、部屋へ戻す。いいかな?」
異論は出ない。だから、そのようになった。
洗濯場は、屋内にある。御山では服を干す習慣がほぼないし(だって魔法で乾く)、神聖公国のお嬢さま達は自分の下着やドレスが人目に触れるのを嫌う。なので、屋内。大きい洗濯場へ運ぶのが難しいのもその理由。学生達は知らなくても、ディファーズ出身の女性教員が反対したので、伝統的に女学生の服は持ち出さない。制服に関しても、洗滌人さんが洗いに来る。
床はタイル張りで、排水口がふたつあった。大きなたらいがよっつ、壁に立てかけられている。そのうちのふたつをもらって、俺やサフェくんのように家政魔法をつかえない組と、メイリィさんのように家政魔法をつかえる組に分かれた。俺達は洗濯せっけんをお湯に溶かし、麻や綿から洗いはじめる。俺とサフェくんで踏んだ。
洗い上がったら、先輩達に渡す。どれが誰のものかを間違わないようにしないといけないから大変だ。大事をとって、ひとり分ずつ洗っていった。




