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うう、服んでみたい。味が気になる。
……とりあえず、匂いだけたしかめてみよう。
栓を抜く。壜の口を鼻先へもっていき、嗅いでみた。……無臭。
「え~……」
匂いしないのか。……ああ、トゥアフェーノ用みたいだし、あんまり変な香りがしたらいやがって服まないのかも。
あじ。きになる。
「……」
栓をした。壜を収納する。
……。
「……あっ、そうだ、マルメラーダちゃんとできてるかなー」
戸棚に仕舞っておいたお鍋をとりだす。今朝がた市場で買いこんだマルメロを、大きめに切ってお砂糖と煮込んでおいたのだ。
お、いい具合にできてる。ちょっと煮詰めすぎたかな。でもおいしそう。バターが手にはいったら、パンデローでも焼いて、マルメラーダを添えて食べたい。
「……な、ナッツバターつくろー」
市場ではナッツ類も豊富に売られている。特に、アーモンドは尋常じゃなく安い。
ローストされたものを沢山買っておいたので、砕けばアーモンドバターだ。薄皮?あの渋み結構好きだし取らん。
アーモンドをまないたへのせ、地道に刻む。ミキサーほしい。粗く刻めたら、半分くらいは崩潰で潰す。この魔法まじ便利。すり鉢もあったけど、器用なほうではない。時間がかかるだろう。温度が高くなったら香りが飛んでしまう。
崩潰なら、香りが飛ぶこともなく、滑らかにできる。手にべっちゃりアーモンドバターがついてしまうが、食べたらいいのだ。
「よし、できた。とりのソテーにこれがベースのソースおいしいんだよな~、……」
アーモンドバターを収納した。手を洗う。とりのソテー! 今夜はそれにしよう。
フォークで穴をぶすぶす開けたとりにくをボウルへいれる。胸肉だ。そこへ、お塩、お醤油、ねぎのみじん切り、生姜のすりおろし、りんごのすりおろしもいれてもみこむ。
手をよく洗って、放置している間に平鍋用意。火をおこしておく。
……。
はっ。「スープはなににするかな?! そうだ、おとうふっ」
きのこを引き裂いてお鍋へいれ、お水を注いで火にかける。お塩をぱらぱら。沸騰したら、大きめに切ったお豆腐をいれてひと煮立ちさせればいい。
「あと、ロール白菜もつくろーっ」
白菜をゆがいて……あ、とりにく焼こ。トングではさんで平鍋へいれ、じゅわじゅわ焼く。
さっとゆがいた白菜で、とりひき肉、たまご、片栗粉、ちょっぴりのお味噌をよく混ぜたものを巻く。細い葱(浅葱?)でしばって、白菜をゆがいたお鍋へ戻す。ふたをして煮る。
「……と、とりにく焼けたかな~?」




