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異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
買いものに行ったら帰り道が異世界につながっていた
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20

 

 なんかまずかった?

 小首を傾げた。「足りませんか? ……あっ、もしかしておかねじゃないとか」

「いや、」ナジさんが手を前へ出す。「マオ、心配しなくていい、これはお金だよ。ただ、何日か泊めるのにこんなにはもらえない」

 ???

 あ、貝貨って、価値が高いのか。貝なのに。

 百円玉くらいの、凄く小振りなヒオウギガイみたいな貝がらである。たしかに綺麗だが、採りに行けばあるのでは。

 仕舞いなさい、といわれた。「でも……」

「解った、じゃあ、銀貨をもらおう。一枚で充分だ」

 にっこり笑って銀貨を渡し、絨毯の上のものは仕舞った。

 ナジさんは咳払いする。「マオ。お金はどこで?」

「え? ……もらいました?」

 ポイントが余ってたからもらえた、という理解でいいだろう。だからそう云った。

 長老達は、険しい顔で目を交わした。それから、手続きがあるから、と三人揃って出ていく。なんか駄目だったのかなあ。

「マオ、晩飯がはいらなくなるぞ」

 はっ、手と口が勝手に動いている! クッキー食べれば食べる程おいしい。甘すぎなくて、噛みしめたくなる食感。

 ごくんと嚥みこむ。「ダストくんのお母さん、お菓子つくるのうまいね」

「それはヤームさんの奥さんがつくったんだよ」

 ダストくんはくすくす笑う。「ヤームさん家の前にオーブンがあるから。奥さんが管理してる」

「へえー」

 昔のヨーロッパみたいな感じなのかな?

 本で読んだことある。オーブンは各家庭にある訳じゃなくて、町で管理してた……みたいな。

「最近はロアから沢山小麦がはいってくるから、よくつくってるみたい。ヤームさんの奥さんは、でも、めずらしい職業なんだ。「護衛士」。ただ能力との兼ね合いが悪いみたいで、収穫に出たりはしない」

「ふうん……」

 護衛士かあ。さっき、護衛魔導士っていってたっけ。あれに近いものかな。

「あ、ねえ、おかね、ほんとにあれでだいじょうぶ?」

「ん?」

「ほら。ここで、つかえないとか?」

 どこか別の国のお金だったのかもしれない。だから表情が険しくなったのでは、と思ったのだが、ダストくんは頭を振る。

「もともと同じ国だったんだからお金は一緒だよ」

「え」お茶が気管にはいるところだった。「いっしょ? なにが」

「国が。昔は同じ国だったんだ、御山(おんやま)も、裾野も、ディファーズ、シアイル、ロアもな」

 ダストくんがお茶のお代わりを注いでくれた。ありがとうと云う。

 ダストくんがかいつまんで説明してくれる。


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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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