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そっかあ。還元で、宝石ができるって、こういうことなんだあ。そりゃ、宝石の価値、たいしたことないわ。
サキくんがうずらのたまごくらいある琥珀を拾い上げる。さしだされたからうけとった。穴のなかには、それくらいのサイズの琥珀があとよっつくらいあって、ビー玉くらいのが十数個、それより小さいのは沢山。形は、カットされたみたいなもの、つるっと球形の、砕かれたようなもの、され石っぽいの、半球、まっ四角、そろばんの珠みたいなの、いろいろ。色合いも、濃いものもうすいものもある。
手のなかのものを見る。紛うかたなき琥珀だ。とろっと、飴みたいな質感で、深みのある色。きれい。
サキくんがローブをひろげ、ひょいひょいと琥珀を拾ってのせ、立つ。「どうぞ。マオさんへのおくりものです。効果はないと思いますけれど」
「……あ、ありがと」
遠慮するのは不審がられそうだし、琥珀が綺麗で、俺はそう云って琥珀を収納する。聴いてはいたが、実際目にすると、どっきりする、これは。
穴のなかに手をいれて、収納空間を開き、琥珀を収納した。それが終わると、サキくんは成る丈穴を埋めて、にっこりした。
「マオさん、喜んでもらえました?」
「うん」一番最初に手渡された琥珀を、日にかざす。これが一番綺麗。「サキくん、凄いね。還元って、ほんとに凄い」
「マオさんにはかなわないな」
サキくんは微笑みになって、続ける。「ねえ、マオさん。もし、僕たちふたりとも、巧くいかなかったら」
なにが、とは、サキくんは云わない。けれど、解った。俺は頷く。サキくんは哀しげに目を伏せる。
「その時は……マオさん、僕と、旅をしませんか。世界中、まわって、僕達みたいな見た目でも、こだわりなく受け容れてくれるところをさがして。そうして、見付かったら、そこで一緒に暮らしましょう。マオさんがおいしいご飯をつくって、僕は色んなものを還元して、マオさんのほしいものならなんでも用意します。琥珀だけじゃない。琅玕でも、水晶でも、なんでも。それで、僕らに似た養子をもらって、怒鳴ったり皿を投げつけたりしないで、お菓子やおもちゃを沢山あげて、一緒に遊んで、大切に育てて、誰からも文句を云われずに、家族に……」
サキくんは咽を詰まらせた。俺はサキくんを抱きしめる。ぎゅっと。
サキくんは、きっと凄くまともな人間だ。だから、髪型や服装がちょっと違うからって執拗に攻撃される情況に、参っている。
それに、サキくんはとてもいい子だ。自分が得られなかったものを他人に与えようとしてる。そんなの、なかなかできることじゃない。
「大丈夫だよ」
根拠なんてない。でも、励ましたかった。「俺はサキくんの味方だからね」
サキくんは俺をぎゅっとして、僕もマオさんの味方ですよと云った。




