表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない  作者: 弓良 十矢 No War
気ままなリッター、ジーナの秘密
1468/6870

1384


 そっかあ。還元で、宝石ができるって、こういうことなんだあ。そりゃ、宝石の価値、たいしたことないわ。

 サキくんがうずらのたまごくらいある琥珀を拾い上げる。さしだされたからうけとった。穴のなかには、それくらいのサイズの琥珀があとよっつくらいあって、ビー玉くらいのが十数個、それより小さいのは沢山。形は、カットされたみたいなもの、つるっと球形の、砕かれたようなもの、され石っぽいの、半球、まっ四角、そろばんの珠みたいなの、いろいろ。色合いも、濃いものもうすいものもある。

 手のなかのものを見る。紛うかたなき琥珀だ。とろっと、飴みたいな質感で、深みのある色。きれい。

 サキくんがローブをひろげ、ひょいひょいと琥珀を拾ってのせ、立つ。「どうぞ。マオさんへのおくりものです。効果はないと思いますけれど」

「……あ、ありがと」

 遠慮するのは不審がられそうだし、琥珀が綺麗で、俺はそう云って琥珀を収納する。聴いてはいたが、実際目にすると、どっきりする、これは。


 穴のなかに手をいれて、収納空間を開き、琥珀を収納した。それが終わると、サキくんは成る丈穴を埋めて、にっこりした。

「マオさん、喜んでもらえました?」

「うん」一番最初に手渡された琥珀を、日にかざす。これが一番綺麗。「サキくん、凄いね。還元って、ほんとに凄い」

「マオさんにはかなわないな」

 サキくんは微笑みになって、続ける。「ねえ、マオさん。もし、僕たちふたりとも、巧くいかなかったら」

 なにが、とは、サキくんは云わない。けれど、解った。俺は頷く。サキくんは哀しげに目を伏せる。

「その時は……マオさん、僕と、旅をしませんか。世界中、まわって、僕達みたいな見た目でも、こだわりなく受け容れてくれるところをさがして。そうして、見付かったら、そこで一緒に暮らしましょう。マオさんがおいしいご飯をつくって、僕は色んなものを還元して、マオさんのほしいものならなんでも用意します。琥珀だけじゃない。琅玕でも、水晶でも、なんでも。それで、僕らに似た養子をもらって、怒鳴ったり皿を投げつけたりしないで、お菓子やおもちゃを沢山あげて、一緒に遊んで、大切に育てて、誰からも文句を云われずに、家族に……」

 サキくんは咽を詰まらせた。俺はサキくんを抱きしめる。ぎゅっと。

 サキくんは、きっと凄くまともな人間だ。だから、髪型や服装がちょっと違うからって執拗に攻撃される情況に、参っている。

 それに、サキくんはとてもいい子だ。自分が得られなかったものを他人に与えようとしてる。そんなの、なかなかできることじゃない。

「大丈夫だよ」

 根拠なんてない。でも、励ましたかった。「俺はサキくんの味方だからね」

 サキくんは俺をぎゅっとして、僕もマオさんの味方ですよと云った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
何周も読み返しているのにいつ読んでも泣いてしまうエピソードです。起こっていること、言っていること自体が胸にきますが、セリフの言い回し、同じ意味の言葉の中からどれをチョイスして一文にするかがとても上手く…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ