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しかし、未だかつて冒涜魔法で草むしりした者がいただろうか?
居たとしたら俺クラスのばかだな。友達になれそう。
偸利で植物を枯らしているので、MPつかってMP恢復している感じなのだろう。つかいまくっても疲れない。それとも、魔力が優だから?
なんにせよ前庭は片付いた。次は中庭、井戸のまわりだ。
建物をまわりこんで、中庭の雑草駆除にかかる。はこべとかかたばみとかはなだいこん、なのはななんかは食べられるし、花が咲いた時可愛いから放置。どうだんつつじは鑑賞用っぽいし……こっちのしきみもだな。
おじさんの旅館で裏山の整備や庭の片付けをしていた甲斐があった。花が綺麗なやつとか、毒がまじで危ないやつとか、ある程度解るぞ。
ま、たまに異世界植物もあるけど……どう見ても枇杷なのにサイズが異常に小さいとか、甘酸っぱい香りの熊笹とか。
そういう訳の解らないものは触らずにおいた。高価なものかもしれんし、責任取れんからな。
中庭も綺麗になったので、勇んで裏庭へ行く。厩を途中で見付けたが、DIYの知識はない。無理だ。放置。
裏庭は一番植物天国だった。もの凄い量の葛とアイビーを偸利で枯らす。それぞれもとは一株らしく、一瞬で終わった。疲れていないからそれなりの生命力や魔力をもらったんだと理解しておく。
「ふう」
って、息を吐く程も疲れてないわ。
冒涜魔法まじ便利じゃん。雑草とりだけで口を糊することも可能な気がしてきた。
「おっ」
ひょいと屈みこむ。この植物はもしや?
収納空間から、薬材の本を取り出した。めくる。たしかこの辺にあったと思うんだけど……。「やっぱりだ」
オレンジっぽい黄色に、白と黒の斑がはいった、五弁の花。萼・茎・葉はくらい緑。葉をまくって見てみると、ちらっと顔を覗かせている根が赤紫だ。
「えと。思案草」
一株丸ごと持っていけば、銀貨5枚。
いち、に、さん……六株あるから銀貨30枚か! 宿の資金!
どうやって掘り出すかだが、簡単だ。掘ればいいのである!
その為には道具がいるな。厩になにかあるかもしれない。行ってみよう。
厩に隣接して、庭の手入れに使えそうな道具類のはいった小さな倉庫があった。錠はついていないのでなかを見てみると、ちっちゃいスコップ発見。それを掴んで軽い足取りで裏庭へ向かう。
少々手間取ったが、思案草を掘り起こすのに成功した。すぐに収納空間へいれる。これを元手に料理つくるぞー。まあ自分が食べたいだけだけど!




