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 あれじゃん?

 職業指定で募集かけてるところだって、能力証明書が必要なんじゃん?


 魔王、詰んでる。


 薬材はんたーやるしかないかな。

 職業不問で能力証明書もいらない仕事ってそれくらいだろ。……傭兵を雇うのに身分証が必要だったらまじでお仕舞だ。


「ほらー、走らない!」

 ぼーっとしてた。

 後ろからなにかがぶつかってくる。膝ががくっとなって、前に倒れた。手をつく。

 振り返ると、五・六歳くらいの、金髪の男の子がしりもちをついている。みるみるうちに顔を歪め、泣きだしてしまった。

「チェセール……ああもう」

 人混みを掻き分けて出てきた、中学生くらいの男の子が、その子を抱え上げる。同じような色合いの金髪だ。兄弟らしい。「みうにいちゃあああ」

「はいはい。……あ、ごめんなさい、弟がぶつかりましたよね」

「あー、だいじょうぶです」立った。「ぼく、けがしてない?」

 話し掛けてみたが、無視である。弟くんはお兄ちゃんへしがみついてわんわん泣いていた。

 ふたりとも、厚手のチュニックと細めのずぼん、やわらかそうな質感のフード付きローブに長めのブーツ、という出で立ちだ。チュニックの丈は、裾野でよく見てきたものより短い。色合いは全体的に白っぽかった。お兄ちゃんのほうは、腰に数珠みたいなものをさげている。……途中に釘が刺さってる数珠。なんだろ?

「チェス、謝りなさい」

「うえ。だって、にいちゃん、うええっ」

「走らないって兄ちゃんと約束したよな?」

「ご、ごめんなしゃい」

「ぶつかったひとに謝るの。ほら」

 弟くんがこちらを向いた。涙をこらえ、しゃくりあげながらぺこっと頭を下げる。「ごめんにゃしゃい」

「うん、もういいよ。ごめんなさいできて偉いね」

 弟くんは泣き笑いになって、お兄ちゃんへしがみついた。

 お兄ちゃんからも頭を下げられた。ザ・金髪という感じの色だ。綺麗に撫でつけて、編みおろしにしている。ピアスは兄弟どちらもつけていた。

「ほんとにごめんなさい。ちゃんと見てたつもりだったんですけど、走って行っちゃって」

「みゅう兄ちゃんがおててつないでくんないんだもん」

「チェス、お前なー」

 弟くんはお兄ちゃんへほおずりしている。もう涙は引っ込んだようだ。「ちぇすはみゅうにいちゃんをまもるんだよ。だからおててつなぐの!」

「もー」

 かわいいなあ。

 笑ってしまった。お兄ちゃんと目が合う。あちらもにやっとした。


主要キャラその4です

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こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
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