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それから、ソルちゃんにも仲間が増えた。リーニくんの妹のひとりで、コーラちゃん。特殊能力「勘定」持ちで、ソルちゃんとふたりで帳簿管理をしてくれている。と云うのも、ソルちゃん自身から申し入れがあったのだ。ひとりでやっていると、もしなにかあった時に自分が疑われるから、せめてもうひとり、と。もっともな話なので、セロベルさんは承知して、口入れ屋でなくラールさんに手配を頼んだ。
ラッツァクの事件以来、娼妓やその家族のイメージは悪いままで、有用な職業や特殊能力なのにくびになってしまうひとが増えているのだ。御山に訴え出て、不当な扱いをうけたとして賠償金をもらえるパターンもあるけれど、だからって復職はできない。下手したら犯罪に走る。結果、娼妓の家族のイメージがまた悪くなる、と云う悪循環だ。勘定も出納も料理人も有用だけれど、替えがきかない訳ではないから、割合簡単に首を切られてしまうものみたい。
ラールさんはそんなに気を遣ってくれるなと云っていたらしいけれど、結局、リーニくんのかわりに南の五番区を取り仕切っている娼妓に相談し、コーラちゃんがやってきた。リーニくんは先月末怪我をして、療養中だ。お客に酷いことをされたらしいが、見舞は拒まれてしまったのでくわしい情況は解らない。ご飯を食べに来てくれるラールさんの表情がずっと険しいから、かなり悪いのかもしれない。傷薬を渡したいのだが、それも拒まれてしまって、とにかく心配。
ティーくんは、親の肩代わりの賠償は済んだのだけれど、パラメータの問題で就職先は見付からず、まだ娼妓をやっている。たまにご飯を食べに来てくれて、その時に給仕さんになってみないか訊いたのだけれど、五人で充分だろと云われて終わった。慥かに、そんなに給仕さんは必要ないし、あんまり雇ったらお金がかかりすぎるけど……もどかしい。
ヴェンゼくんは、なんと、サローちゃんの薬工房に雇われた。実は、リーニくんの弟、調剤士のジルくんが、サローちゃんの薬工房に勤めていたのだ。
ヴェンゼくんもリーニくんのお見舞に行って門前払いをくらったが、その時ジルくんと会話をした。サローちゃんが丁度、薬づくりに専念する為には接客担当を雇うのがいい、と考えていて、口入れ屋に依頼するだけでなく、お弟子さんにもめぼしいひとが居たら連れてきてと云っていた。で、ジルくんがヴェンゼくんを連れて行ったら、それまでどんなひとが来ても気にいらないの一言で片付けていたサローちゃんが、ヴェンゼくんは気にいった。それで、ヴェンゼくんはサローちゃんの薬工房で、お薬の効能説明や販売をしている。
ライティエさん、メイラさんは、傭兵等級増加に伴っての傭兵協会での仕事が終わってから、レントを発ち、各地で傭兵活動をしている。戻ってきたらかならず四月の雨亭へ泊まってくれていた。先払いで貝貨をもらっていて、ふた部屋は常にふたりの為にキープされている。




