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こっちに来て、306日目。
薬材採集をしたりなんだりで年が明け、もう七月二十一日だ。
マイファレット幼稚園は巧く運営を続けているし、リータちゃんのレパートリーは相当増え、四月の雨亭は繁昌している。
給仕五人衆は、と云うか俺もだけど、誰も髪を伸ばしていないし、ピアスもしていない。アランさんが絡まれて怪我をした後からずっとだ。五人衆は、アランさんに絡んできたやつや、それと同類の連中に対する反発で。俺は娼妓(とそれらしい格好の男性)に対して舐めた真似してくるやつの都合に合わせて服装をかえるのがいやだから。絡まれたら冒瀆魔法と決めてある。偸利の活躍場面は多々あった。その度いらいらが募って、本気で殺してやろうかと思ったこともあったけど、なんとか我慢している。再会前にそんな事件起こしたら、ほーじくん哀しませちゃう。……勿論ほかの子達もがっかりしたり怒ったりしそうだからね!!ほーじくんだけじゃなくてさ!!
とにかく、四月の雨亭はレントの観光案内常連になったし、人気宿としてほかのまちや、他地域まで名前が知られるようになった。レントは御山のお膝もとだから、他地域から訪れるひとが多いのだけど、わざわざ四月の雨亭をさがして泊まりに来てくれるお客さんが居るのだ。亭主が耳持ち、というのは有名になっていて、それには驚かないのだが、給仕五人衆や俺を見てびっくりするひとは未だに居る。相当数。
セロベルさんは臨時の警邏隊員を続けていて、還元過多や魔物の異常発生の時には店を空ける。それから、ティーズくんだけでなく、もともと東の娼妓だったレンウィくんとスレイディルくん(愛称はスレイくん)という「家事手伝い」も加わって、グロッシェさんのもとで楽しそうに働いている。ティーズくん含め三人とも、主婦や家事手伝いとしては破格の待遇といえ、娼妓のほうががっぽり稼げる。それでもこちらを選んだのだから、あんまり娼妓の仕事が好きではなかったんだろう。
リエナさんは料理人として大活躍しているし、最近はベッツィさんと話しこんでいることが多い。ベッツィさんは五月に無事、出産を終え、今は育休中だ。リエナさんは、自分がお母さんになった時の為に、グロッシェさんやベッツィさんに色々聴いているみたい。
ツァリアスさんは髪がだいぶ伸びたのに、先月ばっさり切ってしまった。そのうちの数本を、赤ちゃんのおまもりにする為だ。それに、髪が短いほうが安全ですから、と苦笑いしていた。ツァリアスさん達の赤ちゃんは、ターティちゃんという女の子。シアイルの習慣で、生まれてすぐにパラメータを慥かめて、収納空間、魔力消費軽減、隠匿、修復者など、めずらしい特殊能力を複数持っていることが解っている。




