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 ウェイターさんは困り顔になった。「は? ……申し訳ございませんが……」

「肉の匂いがする。不快だ」

「お客さま、当店ではきちんと処理された肉をつかっておりまして」


 とうもろこしの芯が飛んだ。

 というか、とうもろこしを食べていたうちのひとりが投げたのだ。白い服のひと達へ。

「おっと手が滑った」

 はははと仲間たちと声をたてて笑う。

 とうもろこしの芯は、ウェイターさんを呼びつけた男性へ命中していた。その角へ。

 それは大変な侮辱だったようで、男性は剣を掴んで立ち上がる。「南の蛮族め! 貴様ら如きが御山(おんやま)に近付くだけでも不愉快だ!」

 ハーバラムさんとダストくんが席を立った。ダストくんに腕を掴まれ、立たされる。

 サラダ集団ととうもろこし集団は乱闘に発展していた。どっちもおいしいと思うから喧嘩はよそうよ!

「腰抜けのくずどもが!」

「邪教徒!」

 おおう、口汚くののしり合っている。酒盛りしている方々は、一斉に手を組んでお祈りにはいった。こんな低俗な争いとは無関係ですよと神さまへ弁明しているのかも。

 ずるずる引き摺られる。「マオ、出るぞ」

「まだこれたべてるの」

「諦めろ」

「やだ」

 三国間の対立が酷いのは解ったが、子どもの喧嘩じゃん。ご飯は楽しく食べようよー。

 白服のひとりが魔法をつかった。火の塊があらわれる。

 どうなったかは解らない。ダストくんの肩に担がれて外へ出たから。でも、直後に爆発音がして、お店のドアが吹っ飛んだ。


「あーあー」ダストくんは呆れ顔だ。「あいつらほんと飽きねえな」

「マオ、大丈夫かい?」

 大丈夫じゃない。

 昔っから雷と発破は大っ嫌いなのだ。

 巻き込まれたり知り合いが死んだりはまったくしていないがいやなもんはいや。耐えがたい。花火は綺麗だからいいけれど発破はいや。無理!

 地面へ降ろされる。ダストくんは服をぱたぱたはたき、上着に焦げ跡を見付けて悲鳴をあげた。

「折角新調したのに! あの野郎ども」

「やめときなよダスト坊。云ってもむだ……ああっ、ダスト坊に編んでもらった髪が! あんのくされ外道、目ん玉抉りだしてやる!」

 ハーバラムさんが店内へ戻ろうとし、ダストくんがそれを羽交い絞めにした。「とめないでおくれ!」

「ハーおじさんじゃ敵わないって」

 あ、やばい。

 鼻の奥がつんと痛い。これはまずい。

「う。うああああああああああああああおれのおもちがああああああああああああ」

 意地汚く握りしめてはなさなかったお皿の上で、お餅は到底食べられそうにない程土埃に塗れていた。


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