表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/6794

96

 

 金髪はきらきらして綺麗だが、みつあみにしてしばっているだけ。

 ピアス穴はあるっぽいが(ちらっと見えた)、ピアスそのものはつけていない。ネックレスや腕環指環の類もなし。

 男の子はにっこりした。

「申し訳ありません。もし購入されるのでないなら、その本を見せてもらえませんか?」

「……あ、はい」

 差し出す。男の子はありがとうございますと云って受け取った。

 顔が綺麗だなあ。本をめくるのもさまになっている。控え目に云って美人。ほっぺがふくふく。

 男の子は本を閉じて、苦笑した。「目当てのものではなかったようです。歴史書かと……」

「ああ、題名が紛らわしいですよね」

 背表紙には「悪の歴史」とあるのだ。中身はどろどろの恋愛小説っぽかった。

 男の子はくすくすっと笑って、本を棚へ戻す。美人さんだなあ。もとの世界なら、女子が遠巻きにしてこそこそ話していることだろう。

「裾野のかたですか?」

「え?」

「お顔立ちは、帝国のかたのようにも見えますけど。服装が」

「あー、えっと」

 なんと答えたらいいのか解らない。

 首を傾げるとあちらも同じようにした。

「サキさま」

 心配げな声とともに、中年女性がさーっと走ってきた。くるぶし丈の簡素なドレスに、柔らかそうな薄手の肩掛けをまきつけている。灰茶の髪は、みつあみをお団子にしていた。

 こちらを見て不審そうにする。

 男の子=サキくんが、にこっとした。「ごめん、退屈だったものだから、本を買おうかと」

「おひとりでうろうろされないで下さい。紙とインクは無事に手にはいりましたよ」

 サキくんは、中年女性に腕を掴まれ、引き摺られていった。こちらへ目礼したあと姿が見えなくなる。

 ……他国のひとか。入山を目指している、良家の子女、というやつ。


 本を眺める。

 立ち読みは怒られないらしい。でも、値段が値段なので、手ずれがこわくてもう触れない。

 背表紙のタイトルで判断するしかないな。魔王に関する本、神話の本、南の「邪教」に関する本……なにかないかな……。

「……」

 ……あれ? 手が勝手に。「帝国宮廷料理大全」、「ディファーズの食卓ー祈りとともに作る料理」、「ロア 地方家庭料理」、「シアイルを食べ歩く」、「井で戴く。ありがたいおいしさ」「雨林の食生活」……。

 材料表見てるだけでおいしそうだなこれ。やっぱり本で一番はレシピ集とグルメ紀行。

 あ、全部ほしい、これつくって食べたいし、えっと……銀貨4枚の棚だからいけるいける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらも宜しくお願いします。 ループ、あの日の流星群
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ