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熱血作品集

筋トレマニアと魔法のランプ

作者: 84g

ブログとの同時掲載。ブログもよろしく!

ある所に魔法のランプが有りました。

このランプはどんな願いでも叶えてくれます。




ある男は「お金持ちになりたい!」と云いました。

ランプの精霊の花子ちゃんが現れました。

 「いいよ☆ オジさん! はい!」

大量の紙幣が現れ、喜ぶ男。次の瞬間、喜びのあまり男の心臓は止まってしまいました。



ある老人は「若さが欲しい!」と云いました。

ランプの精霊の花子ちゃんが現れました。

 「いいよ☆ お婆ちゃん! はい!」

老人は若返ります。喜ぶ元老人。次の瞬間、喜びのあまり元老人の心臓は止まってしまいました。



ある女は「素敵な彼氏が欲しい!」と云いました。

ランプの精霊の花子ちゃんが現れました。

 「いいよ☆ お姉さん! はい!」

どこからともなく男が現れ、喜ぶ女。次の瞬間、喜びのあまりお姉さんの心臓は止まってしまいました。




女の願いでどこからともなく表れた男に、ランプの精の花子ちゃんは云います。

 『願いを叶えてあげようか?』

しかし、男は考えてから云います。『俺の願いは叶えられないだろうか良いよ』と。

花子ちゃんは怒りましたが、可能な限り優しく言います。「私はどんな願いでも叶えられるよ☆」と


 「俺の願いは理想の肉体が欲しいことだ」


 男の願いに、ランプの精の花子ちゃんはニヤリ。

 「いいよ!はい☆」

 魔法を使う花子ちゃん。しかし何も起こりません。


 「あれ?」

 「理想の肉体ってのは、自分で鍛えた上で発生するものだ。あんたの魔法で得る意味が無い。」


花子ちゃんは少し考えてから閃きます。

 「じゃあ、永遠に筋トレし続けられる不老不死をあげる!」

 「老いながら、それと戦うのもトレーニングの醍醐味だろうが。ずっと若いだけなんてイージーモードだろ」


花子ちゃんは少し考えてから閃きます。

 「じゃあ! 時間を止めていられる魔法をあげる! それなら好きなだけトレーニングしてられるでしょ!」

 「ライバルたちと条件変わるだろ。それはドーピングとかと変わらないよ。」


花子ちゃんは少し考えてからひらめきます。

 「じゃあ! 世界中で筋トレを流行らせようか! ライバル沢山!」

 「筋トレを布教するのも楽しみだろ。俺の筋肉を見て、それに憧れるガキ共を筋トレ道に誘うんだろ!」


花子さんは自分の能力に絶対の自信を持っていましたが、愕然としました。

筋トレマニアにとって、願いが叶わないことこそが望みであり、終わりが無いのが筋トレだからです。

いかなる願いをもかなえる魔力を持っていることを誇りにしていた花子ちゃんは、崩れ落ちるように膝をつきました。

 「私、どうすれば良いの…?」

花子さんは自分の方向性を見失ってしまいました。

 「決まっている! トレーニングだ!」

 「は!?」

 「ある種の迷いや悩み、後悔は修行によってのみ予防できる。やれることをやれ。今できることをし続ける人間に悔いはない!」

 「いや、私、全知全能のランプの精なんだけど!?」

 「現状に満足するな! トレーニングだ!」

ランプの精は思いました。こいつ、筋トレに誘うとき、松岡修造みたいになるなぁ、と。

実はこのランプの精、人の願いを叶えて心臓を止め、その生気で稼働する呪いのランプでしたが、願いが叶えられなければエネルギー不足。

息切れ寸前の中、男は当然のように『さあ! 夕日に向かうぞ!』と走り出してしまいました。

ここで男に逃げられたのでは、魔法のランプとしての沽券に関わります。

 「待って☆ お兄さん待ってよッ☆…待てコラァアアアッッ!」

 「そうだ! しっかりと足を上げろ! イチニ! イチニ!」

 「ウアぁあああ! ゥオッチニィ! ッチニィイ!」


その後、花子ちゃんと男は、初のランプと人間のタッグとしてプロレス大会に参加。

花子ちゃんは他人の生気ではなく自身の溢れる若さと生命力で活動することに成功し、男は花子ちゃんとのツープラトンのために限界を超えた。


彼と彼女の挑戦は、続く。

そして、冒頭で花子ちゃんに生気を吸い取られた金持ちになった男、若返った元老人、彼氏が欲しかった女性は、偶然にも『止まった心臓の動かすトレーニング』をしていました。

むくりと起き上がった三人は、男の資金力でプロモーターとなり、元老人と彼氏の欲しい女性がタッグを組んだ。

 「若さ再び! リングが呼んでいる!」

 「最強になれば…モテる! リングが呼んでるわ!」



 『行くぜ! イッテンヨン東京ドーム!」

毎週金曜日にブログで小説掲載中。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。(←たぶん) 笑いました。 勢いで書かれてる感(いい意味での雑さ?)があって、まさに熱血タイプ。 ラストの強引さも素敵です(笑)
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