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蒼き零の刻印  作者: 仲村リョウ
第一章:紫色の月
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第四話:閃紅姫

光は闇を照らすように、闇も光を消し去る・・・また、善があるから悪が生まれ、悪があるから善が生まれる。

終わることのない連鎖・・・俺達は交差を繰り返しては、血を流し、多くを失った。とり返しのつかない過ち・・・俺を含め、何人もが後悔しただろう。何故、この道を歩んだのか・・・?偶々か?必然か?運命か?


・・・誰も分かるわけがない。

俺にも分からないのだから・・・



「っ・・・・・・」


嫌な目覚めだ。

決して、悪い夢を見たわけではないが、心が痛々しくて気持ち悪い。


(・・・・・・まだ、5時か。)


かなり早起きしてしまったが、もう一眠りしようと言う気はしなかったので、布団をたたみ、ベッドからおりる。

すぐ近くの窓のカーテンを少しだけめくり、街の様子を確認する。まだ、朝日が登ってないのか、街灯がついており、人がいる様子はない。いや、警察が巡回してる姿を見るくらいか。


今の時間帯、外に警察しかいないのは理由がある。それは、"テロ"が多発してるためだ。

深夜1時以降は街全体が厳重警戒体制に入るため、警察や軍の警備が厳しくなる。そのため、日が登り始めるまでは、外に出る者はいない為か少し寂しく見えるのも仕方が無い。


(確か屋上があったな・・・)


流石に狙撃手を配置するほど物騒ではないだろう。もし、本当にいれば"旧文明時代に戻ったのか?"と思ってしまうな。


ともあれ、気分を変えようと屋上に行くことを決意したユウトはカーテンを閉じ、ハンガーにかけていた上着を外すと、それを着る。

この時期のフェイリール王国第2都市イージスはまだ肌寒い。とは言っても、昼間辺りは常温で寒さなんて全く感じないほどだ。しかし、夜中になると気温が下がり、冬のちょっと手前の肌寒さへと変化する。この寒さもあと4ヶ月くらいでさよならだが・・・


(フェスは・・・)


フェスが寝ているであろうベッドを見てみる。

そこには、布団をかぶり、気持ち良さそうに眠るフェスの姿があった。表情こそ出さなかったが、彼女もかなり疲れていたのだろう。


起こす理由がないため、ユウトはゆっくりと部屋の出入り口の方へ歩き、廊下へと続くドアを開ける。やはり新築の為、木の軋む音がなく、少し感動した。何故、感動したかは分からないが。


さておき、ドアを閉め、廊下の先を見ると流石に真っ暗だ。ライトがないと見えないくらいに・・・とはいえ、寮内の構図はハッキリと覚えた為、暗さ関係なく歩くことができ、慌てる必要がなかった。

本来なら、暗闇を一人で歩くことに心霊的な恐怖を持つ者がほとんどだろう・・・

まあ確かに、自分を入れてフェス、クルル先輩以外に誰かがいたらびっくりするだろうな・・・ただ、それは出会うまでの過程であって、それまでは恐怖とか一切感じない。単純にオカルト系を信じないのもあるだろうが、生き物ならば気配で感じとれる為だからだ。ここなら、そんな事をする必要もないけど・・・


そんなことを思っているうちに、階段を登り終え、屋上へと出るドアの前までたどり着いていた。ユウトはドアノブを握り、反時計回りに回す。そして、ドアを開けた先には


「ん?クルル先輩?」


「あれ?ユウトくん?」


お互い少し驚き、名前を呼び合う。クルルは真ん中に設置されてあるベンチへ座っており、メモ帳のようなものに何か書いていた様子だ。


「どうしたの?ユウトくん。もしかして、あまり眠れなかったの?」


「いえ、早めに起きてしまったので、気分を変えようと・・・」


「そうなんだ・・・まあまあ、せっかく来たんだから、隣に座ってお話でもしましょ?」


優しい微笑みを見せながらクルルは手招きをする。ユウトは素直にベンチの方へと近づき、クルルの隣に気まずい状態で座るのだった。


「クルル先輩はいつもこの時間に?」


「ううん。私もユウトくんと同じで早く起きちゃったから星を眺めてたの。」


「星・・・ですか。」


ユウトは空を見上げる。雲は、チリジリとあるものの、星がはっきりと肉眼で捉える事ができるくらい無数にあった。


「まさか、ユウトくんがここに来るとは思ってなかったから、びっくりしちゃった。」


確かにこんな時間に起きて屋上に行くっていう考えはあまりないだろう。屋上に出て気分を変えるとは、我ながら意外にロマンチストなのかもしれはい。

ふと、ユウトはそう思ってしまう。


「そうだユウトくん。これあげるね。」


手をパンっと一度叩き、クルルはポケットから、紐付きで茶色の手帳みたいな物を手渡された。意外と分厚くずっしりときた。表面には"クルル 豆知識帳"と可愛く書かれていた。


「な、何です?これ・・・」


「これはね、言葉の通り私の豆知識を詰め込んだ手帳なの。」


「中を見て見て〜♪」と言わんばかりに自信満々に微笑むクルル。

ユウトは苦笑いを浮かべながらも、仕方なく紐を解き、手帳の中身を見る。そこには、イージス市内の地図を所々ズームインされては、手書きの地図にオススメのお店やプチ情報が載せてある。それも、半分に。

そして、もう半分は"学院編"と書かれ、学院の細かな地図や情報が記載されてあった。これも、手書きで・・・


「ユウトくんの為に、夕食を食べて終えて部屋に戻ってからすぐ作ったんだよ?」


「す、すぐですか!?」


夕食を食べ終えて大体深夜まで寝るとすればほんの数時間程度・・・

こんなに分厚い物をたった数時間で作った彼女はまさに神技レベルだった。

「す、凄いですね・・・」


「凄すぎるお姉ちゃんと呼んでもいいよ?」


「呼びにくいですよ、それ・・・」


ふんす!と胸を張る彼女に、ユウトは少し困る。

とにかく、ありがたい事だ。授業中にでもこっそり読んでおけば、街や学院の情報が頭の中に入って来るだろう。

・・・しかし。ただ一つ気になる項目がある。


「クルル先輩・・・この学院編にある"要注意人物(>_<)"って何ですか?」


それは、最後辺りの3〜4ページに渡って書かれていた。


「言葉の通りよ?」


「・・・・・・・・・」


ユウトはジト目でクルルをしばらく見つめると、例の"要注意人物(>_<)"の項目に目を通した。この顔文字は何故入れたのかはよく分からないが。


「えっと・・・報道部の3バカ ライラ・コルソネット、ミュウ・コルソネット、蔵田 名香」


報道部?いわゆる、学院内のジャーナリストみたいなものだろうか?見た限りでは、3バカとついているだけで警戒をする必要もないと思うが・・・

ほんの少し軽視するユウトなのだが、クルルが書いたものなのだから理由があるのだろうと思い、報道部の3バカの事を聞いてみる。


「ん〜とね・・・報道部の3人はターゲットにした人に関してはかなりしつこいらしいみたい。私も一度追いかけ回された事があるから・・・」


もう経験したくないと思い、クルルは苦笑しながらユウトにそう説明をした。

ユウトは(これ以上この人達に関しては何も聞かない方がいいな・・・)と思い、次の人物を見た。


(風紀委員長 ルナ・オルネス)


「この人はねぇ・・・」


まだ何も聞いてないのに、クルルが説明しだした事に、ユウトはビクッとしてしまう。


「学院の風紀を取り締まる通称"学院警察"とも呼ばれている風紀委員のトップ。ルナちゃんは、かなり厳しいらしくて、スカートが短かったり、許可無しに学院内で私闘をしてたら、凄く怒られるんだよ?確か、500文字反省文20枚分の文書を書かされたりとか・・・」


「それは、厳しいですね・・・」


「ユウトくんも私が言った上記の事はしちゃダメよ?」


「俺はスカート履きませんし、あまり喧嘩っ早くないですから・・・」


「えっ?でも、男の子と男の子は拳で語り合うって聞いたんだけど・・・」


「学院にいるのって俺以外に女の子しかいないんですよね・・・?」


冗談で言ってる風に見えなかったので、軽めのツッコミを入れる。


「あっ!?そうだったね。でも、友達が『例の編入生の男が女性制服着ても似合いそうだよね〜』って言ってたけど、履いちゃダメなんだからね?」


「俺の印象がすでにやばい!」


どんな目をしてるんだ!?その友達は!?

など、言いたいことは山ほど出て来るが、彼女達はおそらく先輩。あまり、ツッコミを入れすぎると次は"拳でしか語れない不良男編入生"と称号付けされる可能性があるため、心の隅にしまっておくことにしよう。

そして、ユウトは最後にしようと次の人物の名を囁いた。


「生徒会長 七条院 那月・・・えっ!?」


「やっぱりユウトくんでも驚くよね・・・」


ユウトは少し目を疑った。


「し、七条院って、あの七条院ですよね!?」


「うん。あの七条院さんだよ?」


焦りながら質問するユウトにクルルは冷静に答える。

クルル先輩がそう言うのだ。間違いない。


(まさか、和国の姫がいるとは・・・)


和国とは王国と帝国の大陸から離れた島国だ。その中でも、七条院とは和国を治めており、長く歴史がある家系だ。

そして、七条院 那月・・・彼女は和国一の剣士と言われるほどの剣の腕の持ち主で、二つ名"閃紅姫"と呼ばれている。


「多分だけどね・・・報道部の人と生徒会の人には明日から目をつけられてると思うよ?」


「ど、どうしてです?」


「報道部の場合はネタにされるし・・・噂だと生徒会は常に優秀な人を求めてるみたいだから・・・あっ!でも、ルナちゃんは校則に引っかかるような事をしなければ怒らないし、普通に接してあげれば楽しく話せる人だよ?」


なるほど・・・人それぞれの理由があるということか・・・ただでさえ、男の編入生って形で目立ってるというのに、更に慌ただしくなりそうだ。

そして、ユウトは軽くため息を吐き豆知識帳を閉じる。


「どう?楽しく過ごせそう?」


「ええ・・・まあ・・・」


ある意味でだが楽しく過ごせそうな学院生活になりそうだ。

ユウトとクルルは朝日が登るまで雑談をしあった。



「ん・・・」


カーテンの隙間から日の光が差し込み、ふと目が覚める。寝ぼけながら、壁にかけてある針時計を見ると、6時を少し回っていた。学院に行くまでの準備としては、ちょうどいい時間だ。

しかし、アリシアにとってこの時間には少し弱い。


「あと5分・・・」


別に目覚ましがなっているわけでもなく、誰かが起こしに来たわけでもなく眠そうに定番なセリフを声に出す。

起きるたびにいつも思っていることなのだが、何故私は士官学院に通っているのだろうか・・・

もちろん、ちゃんとした理由はある。姉のレベッカの戦う姿を見て魔法使いの道を選び、今この場所にいるのだ。別に家の方から無理やり言われたわけではなく、自分の意思だ。例えクラスメイトと上手く行ってなくても卒業出来なければ自分の力はその程度だったということになる。それは、アリシアのプライドが許さないだろう。


(・・・ユウト。何の目的できたのかな・・・)


アリシアは布団に包まりながらふと思った。あの男・・・"ユウト・アクセラレイン"という男だ。

最初に出会った時は名前だけ聞いて何とも思わなかったが、昨日の朝。フルネームで彼の名前を聞いた時はかなり驚いた。まさか、帝国で最強流派の家系・・・"アクセラレイン流派"の者だった。アリシアだけではなく、その場の全員が驚いていただろう。まさか、アクセラレイン家に男がいたなんて誰も思っていなかったのが理由の一つかもしれない。

姉のレベッカはアクセラレイン家と知り合いなのは知っていたが、詳しいことは何も話さなかった。


(お姉ちゃんもお姉ちゃんで何考えてるんだろう・・・)


彼を無理やり学院に編入させたみたいらしく、ユウトもその事で困ってたらしい。


(まっ、いいか・・・ユウトはユウトの苦労なんだ・・・はっ!?)


そう思った途端、アリシアは急にボッと顔が熱くなるのを感じ、半身を勢い良く起こした。


(わ、私・・・いつの間にか、名前で・・・)


気がついたら彼の名前を呼んでいた。何故か恥ずかしくて仕方がなかった。そもそも、同じ歳の男性と話すのは久しぶりで、そのせいか変な気持ちだ。

と言うより、私にあそこまで親しく話してくれる人自体久しぶりなのだ・・・


(もう考えるのやめよう・・・)


アリシアは顔を赤くしながらのそのそと布団から出た。これ以上考えたら、何かおかしくなると思ったからだ。

とりあえずシャワーを浴びて、朝食を作り学院へ行く準備をしようと行動する。それも、少し早くに・・・



「オーダーメイドだけど・・・結構いけるじゃない。」


「どうも・・・」


クルルに早めの朝食を頼み、食べ終えた早めの登校。それは、昨日渡せなかった制服を受け取るため登校した。

ナイトブルーに黄色のラインがかかったデザインで、青はイージスの尊重色で黄色は"希望"の意味を込めたものらしい。実際、国旗では幻獣"ユニコーン"に蒼き英雄"ギデオン"が乗った絵が印象的に描かれている。

そして、学院紋だがフェイリール独立を果たした最高総司令官の"ギルバート・ウェンスレット"が描かれている。負傷した彼の右手には国旗が描かれた旗を掲げ、倒れそうな彼を支え左手で剣を天へと上げ何かを叫んでいる人物がいる。彼は"ライル・ウェンスレット"。ギルバート・ウェンスレットの弟だ。彼は"戦場の猟犬"と呼ばれた軍人だ。この光景はかなり有名でイージス城前の広場には彼らの銅像がたっているほどだ。イージスを最後に解放したとあり、士官学院ではエンブレムとして使われている。

長々と歴史を語ったが以上だ。


「フェスちゃんも似合ってるわよ。」


「ありがとう・・・です。」


フェスは照れ臭そうにもじもじとし、頬を赤く染めた。確かに見慣れない服装に新鮮さがあり、ユウトは思わずフェスを見つめてしまう。


「に、似合ってますか?ユウト・・・」


「うん。可愛いよフェス。」


「かわ・・・いいですか・・・」


さらに頬を赤く染めたフェスは顔を横にブンブンと振った。かなり照れているのだろう。


「ユウト。女の子に対する言葉に気をつけなさいよ。じゃないと、大変なことになるわよ・・・」


「き、気をつけるよ・・・」


ユウトは自分が言っている事に自覚していないわけではない。ただ、相手を傷つけないように答えているのだ・・・が。


(それを気をつけろって事だよな・・・)


何しろここは女子学院・・・言葉の選択は慎重に選ばないとユウト自身辛くなるだけだ。何とも女性と話すのは難しい・・・


「それより、渡すものがもう一つあるわ。」


レベッカはテーブルに置かれてあった金属製のケースを開けると中身には何やらデバイスみたいな物が二つ入っていた。形は片手で操作できるほどのコンパクトさで長方形の形をしている。


「これは、コルソネットカンパニー製の魔動力駆動式デバイス。通称"ラビリンス"って言うの。」


「へぇ〜・・・ん?」


レベッカの言葉に一つだけ引っかかるものがあった。だけど、今はレベッカの説明を聞いた方がいいと判断し、ユウトは疑問を頭の中から切り離す。


「横のボタンを押すと電源が付いて・・・」


レベッカはケースに入っている一つのデバイスを手に取り実際に操作しながらレクチャーをし始める。言われた通り、レベッカが横にあるボタンを押すと画面が光だし、デバイスが起動したことが分かる。


「はい、ユウト。」


すると、レベッカはそのデバイスをユウトへと手渡す。画面を見ると、そこにはユウトの顔写真に所属学院といったプロフィール的な物が表示されている。


「それが今後の学院手帳替わりにもなるから紛失しないようにね?」


「あ、ああ・・・」


「あと、メニューにいきたかったら上にスライドさせたらいけるから。」


言われた通りに指で画面に触れ上へとスライドさせる。すると、そこには小さな絵のようなものが並んで表れたのだ。


「アプリケーションが表れたでしょ?そこからは、説明が面倒くさいから自分で操作して覚えてね。」


「おい・・・」


確かに自分で触ってみないと覚えれる気がしない装置だ。何というか、ユウトにとっては未知数な物なのだ。


「フェスちゃんもどうぞ。」


「ありがとう・・・」


レベッカからラビリンスを手渡されたフェスは不思議そうに見つめていた。


「これが・・・新文明時の遺産・・・」


と、意味深な言葉を発した。だがユウトとレベッカはフェスの言葉をあまり気にしなかった。


「まっ、渡す物はこんなところかしらね。」


ケースを閉じながらレベッカはそう言いソファーへと座る。

ユウトはラビリンスを胸ポケットにしまい、レベッカの方へと向き。


「終わりか?」


「ええ、ご苦労様。あとは、授業を頑張って一日頑張ってちょうだい。」


と、手をヒラヒラさせ微笑みながらそう言った。この時ユウトは(何か企んでるな・・・)と思い軽くため息を吐いた。


「教室に行こうか、フェス。」


「はい。」


フェスも胸ポケットにラビリンスをしまい込むと扉へと歩いて行くユウトの後を追うのだった。

そして、出て行く彼らを見送ったレベッカは閉まるドアの音と同時にふと思った。


「・・・何か言い忘れてることがある気がするわね・・・」



「おっはよー!ユウトくん!」


「ああ。おはよう。」


クラスメイト達がテンポ良く入ってくる時間帯。もう馴染めているのか、挨拶を交わしてくる人が多く感じる。

昨日の"男性は出て行け!"オーラが嘘のように消えていた事に、"何だか少しやっていけそうな気がしてきた"とユウトはふと思った。


「お、おはよう・・・ございます。ユウトくん・・・」


言葉を途切れ途切れに恥ずかしがりながら挨拶をしてきたのはセリアだ。見てすぐ分かるが、かなり緊張している。


「おはようセリア。」


ユウトは微笑みながらセリアへ挨拶を返した。

すると、セリアはユウトの表情を見るなりドキッとなり焦りながら顔を下へと俯いた。


(ど、どうしたんだ?セリア・・・)


セリアの予想外の反応にユウトは少し困ってしまう。


「ちょっ、ちょっと来てください!」


「うわっ!?」


焦りながらユウトの袖を掴み廊下の方へと無理やり足早と引っ張られる。意外と力が強い・・・


クラスメイトに唖然と見送られながら廊下へ出た二人。セリアは胸に手を当て(強引なことをしてしまった・・・)と思い、目をぐるぐるに回りながら息をきらしていた。自分がとった行動に動揺しているのだ。


「セ、セリア?」


「ご、ごごごごめんなさい!ユウトくん!」


突然の謝罪にユウトはビクッとなり冷や汗が出てきた。


「お、落ち着こうかセリア・・・」


「うぅ〜・・・」


「とりあえず深呼吸をして・・・」


ユウトは冷静に彼女をなだめさせ、深呼吸をするよう言った。顔を真っ赤になったセリアはコクッと軽く頷くと、ゆっくりと深呼吸を3回繰り返す。


「落ち着いたか?」


「う、うん・・・」


まだ少しオドオドとしているがさっきより落ち着いたみたいだ。

そして、セリアは軽く息を吸うと。


「ユ、ユウトくんに会わせたい人がいるの。」


「会わせたい人?」


「あ・・・人じゃないんだけど・・・」


セリアの最後の言葉にユウトは少し疑問に思った。

人ではない?だとすれば一体何なのだろう・・・廊下にはまだ生徒がいると言うのに、人間以外の者が何処にいるのだろうか・・・


「フイちゃん。」


『呼んだか?』


「・・・・・・」


とある少しエコーが響いた中年くらいの男性のような声にユウトは思わず己の目を疑った。その声が発した場所はセリアの右肩上辺りにホバリング飛行をしている小さな動物・・・

それは・・・


「ド、ドラゴン・・・」


ドラゴンって・・・あれ?伝説の生き物でこんなに小さくは・・・ないはず・・・


『失礼な事を思っただろう?』


「い、いや・・・動揺してるだけっと言いますか・・・」


『まあ・・・驚くのは当然か・・・』


ユウトはもう一度フイと呼ばれるドラゴンの全体を見つめる・・・


『ドラゴンにしては小さいと思ってるかもしれんが・・・こう見えて、かれこれ3000年以上も生きてるぞ?』


(さ、3000年もって・・・)


今は新生歴3483年・・・ほぼ旧生歴から生きてるって事になる。そうなると、フェイリール独立戦争や帝国革命戦争を見てきている・・・

いや、今は動揺している時間がない事にユウトは気付き、ドラゴン"フイ"に問いかける。


「・・・それより。俺に会いたいって、セリアから聞いているんだけど・・・」


『そうだったな・・・む?』


フイは何かに気づいたのか、空いている窓から何処かへ飛ぼうとする仕草をする。


『すまない。どうやら、時間がきたようだな。』


「時間って・・・朝礼の事か?」


『うむ。』


ユウトは(もうそんな時間か・・・)と思いながら、教室から見えている時計を見た。


『続きは昼だな・・・また、屋上に来るのだろう?』


「えっ?・・・そうなるのか、な?」


そう言えば、リディアは昨日"また、屋上でお昼を食べましょう。"と嬉しそうに言って、別れた事を思い出す。っとなると、昼はまた屋上で集合になるってことだ。


『またな。アクセラレインの者よ・・・』


すると、フイは窓から大きく羽ばたき何処かへ飛び去っていった。


「ご、ごめんね・・・私、時間とか考えてなくて・・・その・・・」


「ああ、いいって。おかげで昨日の疑問が解けたから。」


「えっ?」


昨日、屋上でセリアと対面する前にもう一つの気配の正体はフイだ。まさか、小さなドラゴンだったのは予想外だったが。


「教室に戻ろう。そろそろ、担任の教官が来るだろ?」


「あっ・・・う、うん・・・」


ユウトは教室へと歩き、セリアも気まずくなりながらも彼の後を追って行った。

この後、クラスメイトに「告白されたの!?」っと、いろいろ質問され、誤解を解くのに苦労したのは言うまでもない・・・



「・・・とあり、現代のフェイリール軍戦車はFT-25やF/G-12とある。世界で始めて戦車が造られた国は分かるか?アクセラレイン。」


「ええっと・・・フェイリール王国ですか?」


「そうだ。ちなみに、初期の戦車の特徴は言えるか?」


「・・・わかりません。」


「ダメだなぁ・・・Ⅰ年で習わなかったのか?」


「去年は自分いなかったのですが・・・」


と言うよりユウトは学校自体、昨日が始めてだ。


「あ〜、そうだったな・・・じゃあ、皐月。」


「はい。」


ユウトは軽くため息を吐き、座席へと座る。今の時間は王国史・・・ユウトにとって、教室内の授業はすべて未知数のものだ。昨日も含め、先ほどまでの数学はボロボロ、理科もボロボロ・・・ほぼ、全てがダメだ。


(はあ・・・情けない。)


簡単な事はアクセラレインの実家で教えられているがほぼ独学のようなものだ。さすが学院となれば上手くはいかず、知らない事が多すぎる。


「・・・・・・」


その中、密かに彼を見つめる者がいた。彼の前の座席に座っている赤髪の少女・・・アリシア・スカーレットだ。

彼女はユウトを見るなりふとこう思った。


(・・・大丈夫かしら。)


昨日から見ていて思っていた事だ。室内の授業は全然ついて行けてない事に少々心配だった。午後の実習はアリシアでも驚くほど凄かったのに、座学になるとズタボロ・・・

運動は出来て勉強はダメな人ってこういう事か・・・


「皐月が説明したとおり、初期の戦車は鋼の鎧をまとった動力で動く大砲ってことだ。煙は目立つほど出るし、動力機の音も大きいし、燃費も悪いし、走行も最大15キロが限界だ。まあ、当時の帝国は大砲を跳ね返す戦車を見てかなり驚いてたのは事実だな。帝国革命戦争中にフェイリールを攻めて来た時、戦車の攻撃を受けて全軍撤退という事態に至ったんだ。文明の発達は戦車から始まったと言ってもいい・・・というわけで、よく覚えておけよアクセラレイン。」


「はい・・・」


「えらいテンションの下がり具合だな・・・」


教官はユウトが落ち込んでいると見えたため冗談を言おうとした口を閉ざした。


「まあ、座学なんてこの学院ではおまけみたいなものだからあまり気にするな。実技で頑張れば何とかなる。」


「座学の教官が何言ってるんですか・・・」


教官が発した言葉に一人の女子生徒が呆れたような横槍を突いた。


「うるさい。とりあえず、今日はここまでだ。」


王国史担当の教官はそう言い終えると教室から出て行く。


「はあ・・・」


ユウトはふとため息を吐いた。


「ずいぶん苦戦してるようね。」


すると、前から女の子の声がし、前へと振り向く。・・・アリシアだ,

アリシアは少し面白がってるのかニヤニヤしながら、ユウトの方へと見つめている。


「ああ・・・座学は中々難しいな・・・」


「後ろの人と揃って、実技はかなり凄いのにね。」


アリシアが言う後ろの人とは恐らくフェスの事だろう。彼女も座学に関しては全くで、ユウトより酷いらしい。


「そこは、アクセラレイン家でしごかれてるからな。」


「ふーん・・・」


アリシアは少しだけ納得した。始めて会った時の動きといい、昨日の小テストの抜刀術といい、彼が戦闘に慣れてる理由が何となく分かったからだ。


「・・・さてと・・・もうお昼の鐘がなるし私は行くわね。」


「ああ。また後でな。」


「後で・・・か。」


ユウトには聞こえなかったがアリシアはボソッと小声で何か呟き、早歩きで教室の出口へと歩いていく。同時に授業が終わる鐘が鳴り教室内は一気に騒がしくなる。

しかし、沈黙は急に訪れる。


バンッ!!


すると、アリシアが出て行ったドアが勢い良く開く音が鳴り響く。


「ユウト・アクセラレインはいるか!」


クールな見た目に腰まで届いた青く長いポニーテールの髪。左腰には刀が装着され桜色のマント・・・


「あれ、和国親衛隊の・・・」


「生徒会が何でここに・・・」


ひそひそと静かにざわつき始める教室。


「俺に何か用か?」


ユウトは気まずくなりながらも、彼女の呼びかけに応じ席から立ち上がる。


「お前が男の・・・・・・少し用がある。着いてこい。」


彼女はすぐさま背を向け教室から立ち去る。


「ユ、ユウトくん・・・」


すると、不安になっているセリアが駆け寄り、ユウトに話しかける。


「少し行ってくる。フイやリディア達には事情を話しといてくれないか?」


「う、うん・・・」


「フェスもセリアと一緒に行ってくれ。」


「分かりました・・・」


フェスはコクっと頷く。ユウトはそれを確認すると、青髪の少女の後を追うように教室を後にした。

セリアは心配そうにユウトの後ろ姿を見て。


「だ、大丈夫かな・・・ユウトくん・・・」


「ユウトなら大丈夫です・・・」



無言のまま青髪の少女を追ってしばらく時間が経った。周りは人がおらず、花などが生い茂る庭園へと来ていた。

すると、彼女はいきなり立ち止まると左腰に装備してある刀を抜き、振り向きざまにユウトへと突きつける。


「うわっ!?」


「・・・・・・」


彼女はただ黙ってユウトを威圧するかのように睨みつける。その姿は和国独特の騎士のようにも見えた。


「それが和国の挨拶か?」


「・・・・・・」


ユウトは話しかけるも彼女は沈黙を続ける。

・・・が、しばらくすると。


「姫様はお前に会いたいとおっしゃっておられる。」


「姫様って・・・七条院 那月の事か?」


「男であるお前が軽々しく姫様の名前を口にするな。」


彼女はさらに目つきが鋭くなり、向けていた刀の刃を首元へと近づけた。


「分かったからとりあえず刀を下ろしてくれ!」


「ダメだ。こうでもしておかないと姫様に何をするか分からない。」


「あのなぁ・・・姫様に忠実なのは分かるけど、親衛隊がむやみに刃を向けるのは良くないと思うぞ。」


「では、お願いするが万が一姫様に何かしたら・・・」


「だから刀をしまえって!それに刃を向けながら人に物事を頼むのはお願いって言わないから!」


どちらかと言うと"脅迫"が近い。


「そ、そうか・・・」


ユウトに指摘を受けた彼女は渋々とだが刀を懐の鞘に納める。


「姫様には何もしないし、そっちの用が終わればすぐに帰る。だから、少し落ち着け。」


「・・・・・・」


「それで・・・姫様は何処にいるんだ?」


「・・・・・・こっちだ。」


綺麗な青髪を靡かせ、くるりとユウトと反対の方へ振り向き足早と彼女は歩き出す。


(やっぱり、信用されてないか・・・)


学院優位つの男であるユウト。クラスには受け入れられても、さすがに学院全体には無理なようだ。



青髪の少女が再び歩き出してからの時間はそんなにかからなかった。庭園の中に何やら大きな丸い建物があった。


「ここは・・・」


「アリーナ・・・まあ、人によればコロシアムと呼んだりする。」


「へぇ〜・・・」


ユウトはアリーナを見上げて思ったのは、ただひたすら大きかった事だ。この大きさだと何万人という人が入れる。


「・・・何故ここへ姫様からお呼びがかかるんだ?」


「分からない。姫様がこちらにご案内するよう頼まれたから、案内しているだけだ。私は余計な詮索はしない。」


青髪の少女はそう言うとただ黙ってアリーナ内へと入る。

彼女の口ぶりからして、和国の姫様にかなり忠実だ。必ず大事な人を守り通すという信念がユウトには感じられ、さすが和国の騎士といったところだろうか。


人がいないアリーナ内をしばらく進むと日の光が降り注ぐかなり広い場所へと出た。そこは、まるで闘技場のようだ。


「姫様、連れてまいりました!」


すると、青髪の少女はビシッとしっかりした敬礼をした。

実際ユウトは和国の姫の顔を見たことがないため、どんな人物か想像出来なかった。一度や二度は新聞、雑誌等に載せられていた事は聞いたことがあるが、あまりそういうものに目を通さないため少し後悔もしている。


「ご苦労様です。紗夜・・・」


「はっ!」


紗夜と呼ばれる少女は敬礼を解き、一歩横へと寄った。

そして、彼女が横に寄った瞬間・・・ついに、和国の姫と対面する。


「貴方が・・・」


その姿は凛々しくも可憐であり・・・背中まで伸びた綺麗な薄茶色の髪。後ろ髪には赤色のリボンをつけている。・・・一言で表すなら、大和撫子だ・・・


「お初にお目にかかります。私は七条院 那月と申します。」


彼女は一度深いお辞儀をする。


「自分はユウト・アクセラレインと言います。七条院家の者とお会いできて光栄です。」


と、ユウトも名を名乗り、深いお辞儀を交わした。


「急にお呼びしての無礼お許しください。」


すると、今度は謝罪と同時に頭を深く下げ、敬意を見せる。


「それで・・・俺に何か用があると聞いているんですが・・・」


「あ、それは・・・」


和国の姫・・・七条院 那月がユウトに用件を話そうとしたその時だった。


「ちょぉぉぉぉっと待ったぁぁぁぁぁ!!」


すると、先ほどユウト達が歩いてきた出入り口の方から大きな声と思いっきり走っているのだろうか、大きな足音が響く。

ユウトは何か嫌な予感がし、その方向へと振り向く。気配は既に上にあり、アリーナの照明の逆光に写るのは人の影だ。よく見えないが手には何か持っている素振り・・・それに、凄い殺気を感じる。


「死ね!この、たらし野郎!!」


ユウトは鞘から刃を抜き、防御の構えをする。

すると、目の前には忍のような服装を混ぜたような制服を着た一人の少女が小太刀を両手に構え、ユウトへと振り下ろす。


そして、 刃と刃がぶつかり合う音がアリーナ内に響き渡った。


「あら・・・」


「・・・全く。」


那月は驚いた様子で見つめ、青髪の少女は呆れたように頭を抱えユウト達の姿を見つめる。


「な、何なんだ!?お前・・・」


「何なんだじゃないわよ!この、スケベ!」


「ス、スケっ!?」


そんな行為を行った覚えがなく、理不尽にそう言われたユウトは少しショックを受ける。

そして、彼女は力強く小太刀で振り払い、小競り合い状態から抜け出し、那月の前へと舞い降りる。


「何で男が姫様の前にいるのよ!!」


少女は両手に持っている小太刀を構え、ユウトを威嚇する。


「いや、あんたらに呼ばれたんだが・・・」


「はあ!?姫様があんたなんかに用があるわけないじゃない!」


ユウトはもう何がなんだか訳が分からなくなり、唖然とする。


「姫様!この男が言った事は本当なんですか!?」


「は、はい・・・本当ですよ?」


「ほら見なさい!・・・・・・っえ?」


予想外の返答だったのか、黒髪のショートヘアで那月より背が小さい少女は目を丸くした。


「ほ、本当って・・・ええっ!?」


あたふたしだす少女は・・・


「な、なな何故、私を護衛に呼ばなかったのです?」


「紗夜がいいとおっしゃいましたから・・・」


「紗夜!!」


敵意はユウトから紗夜と呼ばれる青髪の少女へと移る。


「何で私に声をかけないのよ!!せっかく、食堂の席を確保しておいたのに!!」


「お前がいるとこうなるからあえて呼ばなかったんだが・・・」


「何よそれ!!」


「あの〜・・・お二人共・・・」


那月は少し困ったかのように言い争いをしている二人を見つめる。


(これ・・・書き直した方がいいか・・・)


ユウトがそう思いながら見つめている物は、早朝にクルル先輩からもらった手帳の"要注意人物(>_<)"の内容だ。どうやら、要注意人物とは七条院 那月本人ではなくて、あの二人が当てはまる。


「大体、なんでこうなるっていうことを決めつけるのよ!」


「実際武器で襲っただろう・・・」


「ぐぎぎ・・・」


「いや、お前も人のこと言えないと思うが・・・」


「うっ・・・」


ユウトの横槍で青髪の少女は思い出したのか、かなり動揺した。


「ほら見なさい!紗夜もやらかしてるじゃない!」


「・・・不覚。」


「はあ・・・」


流石にユウトも呆れ、持っていた刀を鞘へと戻す。


「アクセラレイン様。お二人のご無礼をお許しください。」


二人を差し置いて、那月はユウトへと近づき謝罪した。


「別にいいですよ・・・それよりも、本題をお願いしたいのですが・・・」


時間もおしているため、那月から用件を聞き出す。


「はい・・・では、手短に言います。」


那月は目を閉じ軽く深呼吸をすると。


「私と・・・模擬戦をしていただけませんか?」


右手を胸に当て、真っ直ぐな瞳でユウトを見つめる。


「模擬・・・戦?」


「はい。」


「「姫様!?」」


口論をしていた二人は模擬戦という言葉に反応する。


「ひ、姫様!模擬戦だなんて・・・」


「そうです!危ないですよ!」


「私は"紅龍無双剣術"を引き継いでいるものです。戦い方は熟知しています。」


「そういうことではありません。」


「この男が危険だと言っているんです!」


流石に直接そう言われるとかなりへこむ。さっきから、この二人は精神的にダメージを与えてくるのは戦略か?とおもえてくるほどだ。


「弥生の言う通りです。もし不埒な事をされたら・・・」


「そうそう!こいつは卑猥な奴かもしれないですよ!?」


「・・・お前らが俺の事をどう思ってるのか、よく分かったよ・・・」


これは、ショックを受けると言うより少し頭にきたと言う方が正しいだろう。


「紗夜、弥生・・・言い過ぎです。この方はそのような事をする方ではありません。」


那月の芯のある言葉に二人は言葉が出なくなった。


「すみませんアクセラレイン様・・・後でお二人にはよく言っておきます。」


那月はまたも深く頭を下げ、謝罪をした。

・・・ユウトは一度深呼吸をすると、那月にこう問いかける。


「模擬戦をする理由を教えていただけませんか?」


「理由・・・ですか。」


那月はユウトの問いに少しの間だが沈黙するが・・・


「率直にアクセラレイン流派がどんなものか・・・では、だめですか?」


(・・・・・・なるほど。)


見た限り彼女は好戦的ではないよだが・・・これは恐らく"興味"と言ったところだろうか。信念が強い和国の姫の事だ。単なる興味本位での模擬戦と言うわけではなさそうだ。


(とは言え・・・俺も少し気分が高揚しているかもな・・・)


彼女とは逆にユウトは意外と好戦的だ。そこはカノンと腕を比べているうちに自覚はしている。


帝国最強流派"アクセラレイン流派"と和国最強剣術の"紅龍無双剣術"・・・


全く未知数になるであろう模擬戦の誘いにユウトは・・・


「分かった・・・受けて立つよ。」


そう返答したのだ・・・


第四話:閃紅姫END

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