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6.見ようとしないこと

夜でも、

昼のような、

賑わいを見せる八重門町から、

一歩足を踏み出せば、

そこはまったく別世界の、

静まり返った住宅街だ。


八重門町が

ネオンの輝くエデンだとしたら、

ここは、

ごくごく普通の人間が住む、

普通の世界。


俺らが住む世界とは全然違うし、

俺らの世界の住人には、

寄り付こうともしない人間が住む世界だ。

つまり次元が全く違う。


俺は、昔からここが大嫌いだ。


地味すぎて、

静か過ぎて、

俺様には合わなさ過ぎる。


嫌いな理由はいくつかあるけど、

一番の理由は、

こんな静かなところにいると、

考えたくもないことを、

イヤでも考えそうになるからだ。


自分のこと。

親のこと。

周りの人間のこと。


考えなくてもいいのに、

この街に来ると、

考えそうになってしまう。


俺の中にいる、

小さい頃の自分が出てきてしまうような気がして・・・。

俺は、

昔の自分なんて、

思い出したくもない。


だから大嫌いなんだ。


・・・なのに、

大嫌いなはずなのに、

それでもなぜか、

たまにここに来てしまう。


でも、『なぜか』の意味なんて、

答えを出したくもないし、

答えを導くために考える必要すらない。


わかりたくなんか、全然ない。


そうやって、

俺は、

大事なことから、

いつも目をそむけ続けてきた。


そんなことわかってるけど、

もう今更、

そんな自分を変えることはできないし、

変えようとは思ってない。


とりあえず今は、

どこか、

ヒンヤリとした静かな場所で、

頭と体を冷やして、

酔いをさましてぇ。


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