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2.酒が友達

夜の店が賑わう、八重門町。

キャバクラ、ホストクラブ、バー、風俗関係の店など

約100店舗近くの店が軒を連ねている。


そこには光を求める虫の様に、

色んなやつらがどこからともなく集まってきて、

自分の欲求を満たすため、

誰かに癒されるために、

フラフラと店の中に入っていく。

大物政治家、普通のサラリーマン、OL、芸能人、はたまたキャバ嬢などの同業者・・・。

中には借金とかしてまで来る奴もいる。

でも、そんなヤツら全員に、

この街は優しい。

だからみんな集まってくる。

癒しを求めに。


そのにぎやかな街の中に男が一人うずくまっている。

それが俺、春日稔だ。

稔と書いて『トシ』。

でも、俺はこの名前が大嫌いだ。


「やべ〜…。気持チ悪ィ…。」

俺は、『スイーパー』という、

クラブの前の電信柱で

人目もはばからず、

思いっきりかがみ込んでいる。

昨日『ウェーブ』という別のクラブで、

徹夜でバカ騒ぎしてから、

そこのキャバ嬢とアフター行ったりして

一睡もせずに、

またここに来たのがマズかった…。


ここに来て飲み始めてから

まだ二時間も経ってねぇのに、

かなり酔いが回って、

さっきからゲロりまくりだ。

電信柱の周りには、白い嘔吐物が、

池のように散乱している。


もう吐くものがなくなってんのに、

まだまだ気持ち悪くて、

ついには胃酸まで出始める始末。

口中に広がる酸っぱさが、

さらに気持ち悪さを助長させた。


俺様としたことが

かっこわりぃったらねぇ。

俺は吐いたことより、

自分の体が酒に弱くなってることに情けなくなった。

酒に弱くなることは、

男としてはジレンマだ。


俺は正直、

14歳、つまり未成年の頃から飲んでいる。

世間的には違法なコトだ。

でも、今の世の中、

そんな事を忠実に守ってるやつなんて、

あんまりいねぇと思う。

そんなの絶滅危惧種だ。

さすがにそんな若い頃から飲んでると、

体もガタがくんのかな。

でも、こんなに弱くなったのは最近だ。

なんか、調子悪ィんだよなぁ・・・。



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