13.何気ない夜が・・・
コンビニに入ったのはいいけど、
何を食おうか迷った。
仕事帰りのやつらが、
メシを買って帰るのか、
十時じゃ、お惣菜コーナーは何もねぇ。
とりあえす、カップ麺でいいか。
でかいサイズのカップ麺を手に取り、
籠に入れた。
そして、パンコーナーに行き、
余っていたチョコパンも、籠に入れた。
意外に甘党な俺。
あ、飲みもんねぇな。
俺は、奥のドリンクコーナーに向かった。
なんにするかな・・・。
いつもはここで酒を買うトコだけど、
なんだか気分悪ぃし、
酒はやめとくか。
第一、市販の酒はマズいしな。
その時目に付いたのは、
一つのお茶。
そう、こないだ、
あの女がくれたのと同じ銘柄のお茶。
なんとなく、
本当になんとなく、
俺はそれを手に取り、
籠に入れた。
レジを済まし、
俺はコンビニを後にした。
何で、こんなお茶買っちまったんだろう。
と、俺は自問自答してた。
自動ドアを潜り抜け、
外に出る。
今は夜の11時だってのに、
そんなことを思わせないくらい、
この街は賑やかだ。
また歩き出す。
相変わらず、色んな奴らが、
俺に声をかける。
でも、気のない返事か無視しかしない。
この人ごみの中に、
あの女がいたらいいのに・・・。
なんでか、そんなことを考えた時だった。
ドンッ!
何かが俺の右肩にぶつかった。
「なんだよっ!」
見ると、俺と背格好のよく似た男が、
息を切らしてへたりこんでいた。
こいつが俺にぶつかったらしい。
よっぽど急いで走ってきたのか、
かなり汗だくで、
方は大きく揺れている。
そして、そいつは俺の顔を見上げると、
怯えるように横の路地に入り、
一目散に逃げ出した。
「なんだぁ、アイツ?」
変なヤツ。
ふと目線を下に落とすと、
茶色い財布らしき物が落ちていた。
「何だ・・・?アイツのか?」
それを拾い上げ、
さっきのヤツを追いかけようとした時、
俺の右肘を誰かがつかんだ。
びっくりして振り返ると、
見覚えのある顔がそこにあった。