10.ツレとの再会
あれから半月がたった。
俺は相変わらず、
酒と女と遊び三昧の日々を送ってた。
ただ前と違うのは
何か物足りなさを感じていたコトだ。
でも、
それを気のせいだと割り切り、
今まで以上に、
俺は遊びに精を出していた。
思い出しても、
今の現状が何一つ変わるわけでもない。
俺が一番求めているものは、
きっと一生
手に入りそうにないからだ。
それなら、
思い出さないほうがいい。
自分が傷つくくらいなら、
何も期待しないほうがいい。
その方が、
楽だからだ。
でも、夜になると、
八重門町の隣の、
住宅街に目がいってしまう。
俺は何を期待しているのか。
俺自身にも、わからなかった。
でも、自然に、
あの夜のことが、
思い出されてしまうんだ。
あの女のコトを・・・。
でも俺は、あの夜のコトを
打ち消そうと一生懸命だった。
ある日、
俺は懐かしいヤツにあった。
「おい!トシ!」
振り向くと、そこには高校時代、
一緒につるんでいたヤツに会った。
「マキオ。」
金髪のツンツン頭がトレードマークの『マキオ』だった。
こいつとは、高校時代、
色んな悪さをした。
暴力事件起こして、
一緒にブタ部屋に入ったこともある。
高校を卒業すると同時に、
こいつはいつの間にかいなくなっちまって、
それから三年間、
全く音沙汰がなかった。
久々に会ったマキオの隣には、
イケイケのカノジョらしき女がいた。
「何だよ。久しぶりだな。お前の女かよ。」
その女は俺の言葉を聞いて、
余裕たっぷりにニヤニヤと笑い、
マキオの腕にしゃがみついてる。
マキオが俺の質問に答える。
「まぁな。これ、アキ。」
照れもせずに普通に答えるマキオ。
でも、これが何を表しているか、
俺にはわかっていた。
こいつもまた、女に本気になったことはねぇ。
隣にいる女も遊びだと、
今の一瞬でわかってしまった。