危ない仕事
始業式が終わり、一旦家に帰宅、そして昼ご飯を食べてから、由美、由奈と街に出かけた
拓真
「どこから行こうか?」
由奈
「パパ、私、服屋に行きたい」
由美
「私は雑貨屋に行きたいです」
拓真
「ここからだと…」
俺は憶えている範囲でこの街の地図を頭に思い浮かべた
拓真
「雑貨屋の方が近いな、雑貨屋に行ってから、洋服店に行くか」
由美
「うん」
由奈
「わかった」
雑貨屋にて
由美
「お父さん見てください、このくまさん、可愛いです」
拓真
「あは…そうだな…」
由美が可愛いと言って抱きついているクマのぬいぐるみの顔が全然可愛くなかった
そういえば由美の可愛いの基準って一般の人とズレているんだっけ…
由美
「お父さん、私、これを買います」
そう言って由美が見せたのは、さっき抱きついていたぬいぐるみより大きめの物だった
拓真
「由美、重いだろ、持ってやる」
俺は由美が必死にレジに運んでいたぬいぐるみを替わりに運んだ
会計をすませ、洋服店に向かう間、抱えていたぬいぐるみのせいで、注目を浴びた
洋服店にて
由奈
「由美、これ似合うと思う?」
由美
「それよりこっちの方がいいと思う」
由美と由奈が洋服選びであれやこれや言い合っていた
拓真
「わかっていたけど、これは時間かかるな」
俺は自分の服を選びながら2人の様子を見ていた
由奈
「由美、髪型私と同じにして」
由美
「いいよ」
由美は予備のゴムを使って髪型をツインテールにした
拓真
「双子ならではだよな〜あれ」
由奈は由美に選んだ服を着せて観察している
顔が似ているから由奈は由美を使って、自分が着たらどうゆうふうに見えるのか確かめている
拓真
「もうすぐ終わりそうだな」
由奈があれをやるのはほとんど決めた状態ということだ
2回服を買いに行ったが、どちらもあれをやって決めていた
拓真
「俺はこれとこれでいいや」
俺は長袖のTシャツと白のシャツを買った
由奈は紙袋二つ分買っていた
由美は紙袋一つ分買っていた
拓真
「じゃあ、帰るか」
由美、由奈
「うん」
2人を見ていると、俺はちゃんとやれているのか心配になる
2人には普通の女の子として育てるつもりだし、俺のように家業をさせるつもりはない
拓真
「依頼が来てるな」
俺は家のポストに茶色い封筒を見つけた
俺はそれを取り、自分の部屋に入った
すぐに封筒を開けて、中身を確認した
中にはインカムと依頼内容が書かれた紙が入っていた
拓真
「内容は…」
【妖魔の目撃情報が××公園にてありました
なので付近の調査および、見つけ次第、速やかに殲滅してください】
妖魔、突然世界各地に出現し、人々を襲い始めた怪物妖魔は日本での名称であり、外国ではクリーチャーやマッドモンスターなど、様々である
それに対抗するため創設された組織がWOK、何の略かは知らない
一応俺はWOKに所属している
佐伯家の人間は普通の人より五倍近く身体能力が高いそれで正義感が強かったらしい、ひい祖父さんが
ひい祖父さん
「ワシら佐伯家の力を見せるときじゃー」
と言って、佐伯家の男子はWOKの一員になるような家訓を作った
実際向こうは大歓迎らしい一般の人よりもかなり強い人員が増えるからだろう
俺はインカムをつけて
拓真
「こちら佐伯、依頼を受けます」
???
(認識を確認しました、今回もよろしくね拓真君)
通信に出たのはオペレーターの佐々木さんだった
俺は本人と会ったことはないが、声と話し方でたぶん女性だ
拓真
「よろしくです佐々木さん、状況はわかりますか?」
俺は戦闘に備えて、戦闘服に着替えたり、装備を整えていた
佐々木
(衛星からだと何も起こってない様に見えるわ)
拓真
「わかりました、一応確認しに行きます」
部屋の中に隠していた武器や装備を着けた俺は部屋の窓から外に出た
そして、現場に向かった
拓真
「こちら佐伯、今のところ異常なし」
佐々木
(了解、引き続き辺りを警戒して)
拓真
「わかりました」
夕暮れだからか人の数は少なかった
まぁ妖魔は日が落ちてから本格的に行動するから、みんなそれを恐れて、だいたい日が落ちる前に帰宅する
佐々木
(ターゲット確認!拓真君、すぐ近くだよ)
佐々木さんの知らせに辺りを見渡した、すると…
拓真
「いた…」
俺は背中に背負っている大剣を抜いて、構えた
拓真
「中型だな、大きさからして」
妖魔には大型、中型、小型がいて、それぞれ能力が違う
大型は頑丈で破壊力のある攻撃をしてくる
中型は大型よりは頑丈ではないが、特殊な能力を持っていたりする、能力はあったりなかったりで、あまり気にする必要は無い
小型は頑丈じゃない分、特殊な能力がある、小型の能力は様々だが、メジャーなのが毒、報告では幼児化する液体を出したヤツもいるらしい
今回は公園内にある街灯よりも少し大きいので中型だと思った
拓真
「毎回思うけど、どこに隠れてるんだ?」
小型は人並みの大きさだからわかるけど、中型と大型はデカイから隠れる場所無いよな
拓真
「まさか、地面から出てきてるのか?」
佐々木
(知りません、さっさと倒してください)
拓真
「わかりました…見た目えげつな!」
妖魔の全体見た目は毛虫、けど足の部分は人の足だし、体の模様は気もち悪いとしか言いようがない、とどめとばかしに顔の部分は思わず回れ右をして帰りたくなる物だった
拓真
「今まで倒した妖魔の中でずば抜けてえげつないぞ」
佐々木
(拓真君、ファイト)
拓真
「現場にいなくてよかった〜、って思ってるでしょう佐々木さん?」
佐々木
(あ、拓真君、弱点、頭みたいだよ)
拓真
「流された…」
それにしても弱点は頭か、よじ登って刺すのは得策じゃないな
俺は妖魔の足下に向かって走った
妖魔は液体の塊を吐き出した
拓真
「うわ!危ね」
咄嗟に横に回避したが、液体が地面に当たったときに、周りに水滴が飛び散り、少しかかった
拓真
「いつ…」
顔に少し当たって、痛みと同時に皮膚が溶ける感じがした
拓真
「酸を吐いているのか…」
横を見ると地面が大きく、くぼんでいた
俺は再び走って足下まで行くと、体を捻りながら大剣を横に振り妖魔の足を一本切り落とした、そのまま体を一回転して、大剣を投げた
投げた大剣は横回転しながら、片側の残りの足を切断した
すぐに後ろに下がった、片側の足を全部切断された妖魔が倒れるからだ
俺は両腰にあるナイフを取り、顔っぽいところに刺して、そのまま横に切った
顔から緑色の液体が吹き出し、動かなくなった
拓真
「ターゲットの撃破完了、後始末をお願いします」
佐々木
(了解、一度支部まで来たら?)
拓真
「いえ、このまま帰ります」
佐々木
(そう…、ちゃんと武器を拾って帰りなさいよ)
拓真
「わかってます」
俺は投げた大剣を探した
公園のベンチに刺さってるのを発見して、引っこ抜いて、鞘に収めて家に帰った
由奈
「パパー!どこに行ってたの?探したんだよ」
由美
「お父さん!仕事に行くならちゃんと言ってください!」
拓真
「2人とも…言ったら付いて来るだろ」
由奈
「うん」
由美
「当たり前です」
拓真
「あのな…2人とも、俺は2人を危険に晒したくない、それに2人とも戦い方を知らないだろ」
由美
「お父さん…私たちはお父さんのことが心配なんです」
由奈
「そうだよ、パパに何かあったら…」
拓真
「由美…由奈…、大丈夫だから、俺は必ず生きて帰って来るから…2人はこの家にいて欲しいんだ」
俺は2人を抱き締めた
拓真
「だから、仕事に付いて来たらダメだ」
由奈
「…わかった」
由美
「…わかりました」
拓真
「それじゃあ、着替えてくるから」
俺は自分の部屋に行った
そして着替えてから、大剣とナイフの整備をした
拓真
「他の装備はしなくていいか…」
俺は大剣とナイフの他にも武器を持っている
そのほとんどが、銃器で、使うのは大型が相手のときに使う、けど弾にも使用期限があるため、それが近くなると中型にも使う
拓真
「弾は大丈夫だったよな…」
一応確認した
次は使おうと思い、空のマガジンに弾を込める作業をした
途中で由美と由奈が部屋に入ってきたので作業を一時中断して、遊びに付き合った
結局弾を込める作業が終わったのは、寝る前だった