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高校生のパパ  作者: 凰火
17/17

離れる関係

俺は今、全力でグラウンドに向かって走っていた。


拓真

「何でまた!」


下駄箱で運動靴に履き替え、グラウンドに出た。


拓真

「…デカイ」


俺の目の前に高さが校舎と同じぐらいの妖魔がいた。


彩夏

「大きいわね…」


少し遅れて彩夏が到着した。


拓真

「散開して様子を見よう。インカムを通信状態にして互いの様子もわかるようにしておこう」


彩夏

「わかった」


僕と彩夏は妖魔を挟むように移動し、様子を見た。


拓真

「周りに人は…いないな」


昼休みだったから、一応確認のため周りを見回したが、生徒は誰もいなかった。


彩夏

『拓真、攻撃を始めるわよ』


インカムから彩夏の声が聞こえた。


拓真

「了解、こっちも攻撃を開始する。気を付けろよ」


彩夏

『わかってる』


俺はバックからサブマシンガンを取り出し、引き金を引いた。

フルバーストで射ち出された銃弾は全弾余すことなく命中したが、手応えがなかった。


拓真

「彩夏、そっちはどう?」


彩夏

『ダメ、さっきからパニシュを当ててるけど効果がないみたい』


パニシュは彩夏の持ってるデカイ鉄球の名前。


拓真

「こっちも銃弾当ててるけど手応えがない」


実際当てた箇所は血を出しているが、再生し始めるている。


彩夏

『今から別の武器で近接戦闘するから』


拓真

「わかった。俺も近接戦闘に移る。返り血は浴びるなよ」


彩夏

『わかってる。拓真のようにはならないわよ』


拓真

「はいはい。殺るぞ」


彩夏

『了解!』


俺はサブマシンガンをバックに仕舞い、ナイフを二本抜いて、妖魔に接近した。

妖魔に近づくと、触手のような物が伸びてきて、攻撃してきた。


拓真

「ぐっ!!」


縦振りの触手を避けると、続けて横振りの触手がきて、避けきれず当たってしまった。

軽く五メートルは飛ばされ、地面を転がった。


彩夏

『拓真!大丈夫?!』


拓真

「…大丈夫、ちょっと飛んだだけ…」


俺は起き上がりながら、言った。


拓真

「…あの触手速いな」


縦振りには反応できたが、横振りには反応できなかった。


拓真

「…三倍で反応できないってどんだけだよ」


今の俺の状態は三倍。できればこれ以上、上げたくない。けど…


彩夏

『キャアアアア!』


彩夏の悲鳴がインカムから聞こえた。


拓真

「彩夏!大丈夫か?!」


彩夏

『…少し飛んだだけ、まだやれるわよ』


拓真

「いやいい。そのまま離れてて…」


彩夏

『拓真、それどうゆうこと?』


拓真

「今から、暴走に近い状態になるから、巻き込まれるなよ」


彩夏

『え?それって…』


三倍から四倍、四倍から五倍へ…


拓真

「…殺す」


俺は妖魔に接近した。

触手の射程に入ると触手が飛んできたが、軽々避けれた。

俺は触手の上に乗り、触手の上を走った。

他の触手からの攻撃を避けたり、乗り移ったりして移動して、全体を把握した。


拓真

「…もう少し」


意識が飛びそうになる。

完全に制御できてない状態を無理矢理続けているからだろう。


彩夏

『拓真!あなた無理してない?!』


拓真

「…してない」


彩夏

『嘘つかないで!』


拓真

「…舌噛みそうだから一方的に喋って」


俺は触手から本体に飛び移るため、高めにジャンプした。


彩夏

『ねぇ拓真、初めて一緒に戦った時に私は射撃が下手だと思ったでしょ?』


確かに思ったけど…何で今それを言うんだ?


彩夏

『私はね、こっちの方が得意なだけで射撃が下手じゃないんだよ』


拓真

「…え?」


飛んでくる触手を避けながら彩夏の方を見ると、何か飛んで来るのが見えた。


拓真

「マジかよ!」


咄嗟に避けた触手にナイフを突き刺した。

すると直後に着地するはずだった妖魔の頭部分が爆発した。


拓真

「RPGかよ!」


ロールプレイングゲームじゃなくて、対戦車用のロケットランチャーのこと。


彩夏

『まだまだあるよー』


彩夏は次々に射ってきた。


拓真

「俺のことはお構い無しかよ!」


触手からナイフを抜いて、違う触手に移動した。


彩夏

『ラストー』


彩夏が最後の一発を撃ち込むと、妖魔は怯んで口らしいところが開いた。


拓真

「喰らえ!」


俺はバックパックから手榴弾を取り出し、ピンを抜いて口らしいところに投げ込んだ。

手榴弾が入ると同時に閉じると爆発して再び開いた。


拓真

「もう一個」


また手榴弾を取り出し投げ込んだ。

今度は閉じずに奥で爆発したのが見えた。


拓真

「うわ!」


触手が急に落ち始めた。

俺は慌てて妖魔の方に飛んで、ナイフを刺した。

重さと落ちる勢いで刺しても下に落ちて行った。

地面の近くで止まり、俺はそのまま飛び降りて、地面に両手を着いた。


拓真

「…限界」


俺は地面に仰向けで倒れた。


彩夏

「拓真!大丈夫?」


彩夏が慌てて近づいてきた。


拓真

「ゴメン、動けそうにないから連絡頼んだ」


彩夏

「わかったわ。こちら花沢…」


彩夏が俺から離れながら支部に連絡を入れた。

俺は妖魔がスローで倒れていくのを見ていた。






拓真

「なぜこうなる…」


俺は今、彩夏に運ばれて保健室のベットの上で寝ている。

で、なぜか彩夏はナース服を着て、俺に馬乗りしている。


彩夏

「ちゃんと寝てなさいよ」


拓真

「だから、もう動けるから…」


俺は起き上がろうと、上体を上げた。


彩夏

「寝てなさい!」


拓真

「ぐが!」


彩夏に両肩を掴まれ押し倒された。

彩夏の腕力と勢いで両肩と背中に痛みが走る。


彩夏

「大人しく寝ないと酷いことするわよ」


拓真

「いやもう十分酷いことさ…」


光希

「お姉ちゃん!」


唐突に保健室のドアが壊れんばかりの勢いで開き、光希が入って来た。


光希

「て、なんでナース服?そしてなんで拓真の上に乗っているの?!」


彩夏

「看病してるからに決まっているでしょう」


拓真

「いや大丈夫だって…」


彩夏

「だから拓真は寝てなさい!」


再び両肩を掴まれて押し倒され、痛みが走る。

若干ベットが凹んだ気がするが、気のせいだと思いたい。


光希

「お姉ちゃん…それ、看病じゃないと思うよ」


光希は呆れながら見ていた。


彩夏

「いいえ看病よ。この本にそう書いてあるから確かよ!」


彩夏が取り出した本の表紙には『気になる異性の落とし方〜看病編〜』と書いてあった。


光希

「あ、それ私の本!」


光希が慌てて本を彩夏から奪った。


彩夏

「さぁ拓真、しっかり寝てなさいよ」


拓真

「押さえ付けておいて言いますか!?」


彩夏の手はしっかりと両肩を押さえており、身動きができなかった。


光希

「ダメー!お姉ちゃんでも許さないからー!」


光希が彩夏を俺から遠ざけた。


光希

「私がするから、お姉ちゃんは引っ込んでて」


彩夏

「光希こそ、後から来たんだから引っ込んでなさい」


俺の上で怪力姉妹の喧嘩勃発。

当然俺に被害は集中した。

光希に殴られたり、彩夏に踏まれたりと、酷い目にあった。






拓真

「イテテ〜」


地獄の姉妹喧嘩を無事(?)生還した俺は光希と一緒に教室に戻っていた。


光希

「本当にごめん」


拓真

「いいよ別に気にしてないから…」


光希

「でも私のせいで…」


拓真

「だから大丈夫だって、…それよりいいのか?俺と歩いて…」


光希

「何言ってるの?それこそ大丈夫に決まっているでしょう」


拓真

「いやいや、だって俺人を殺しているんだぜ。それも1人じゃなくて沢山だ」


正確な数字はわからないから沢山と言っておいた。


光希

「それが何?拓真は拓真でしょう?由美ちゃんと由奈ちゃんの優しいお父さんなんでしょう。なら問題無いわよ」


拓真

「…そうだな」


なんか光希に励まされたような気がするが、それもいいかと思った。


拓真

「ん?おーい、亮助、大介」


目の前に亮助と大介がいたから声をかけてみた。

すると二人は突然逃げ出した。


拓真

「……」


現実を突き付けられた気がした。

クラスのみんなと同様に亮助と大介も俺を恐怖の対象として見ているとゆうことだ。


光希

「…拓真」


拓真

「いい…言わなくてもわかってる」


俺は友達を無くしているんだと…そう思った。









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