断罪
『被害報告』
ヘリ、二機軽損
重傷者、10人
戦死者、20人
妖魔の死体回収に向かわせた部隊、ほぼ壊滅。
後に駆け付けた支部長により対象を捕獲。
今は支部の独房に監禁中。
支部長
「ふぅ、意外と被害が大きい」
支部長室で被害報告書に目を通し、ため息が出た。
コンコン
ドアがノックされる音が聞こえた。
支部長
「入りなさい」
ドアが開き、中に入って来たのは高校二年生とは思えない容姿をした少女。拓真と組んでいる…
彩夏
「支部長、何か御用でも?」
支部長
「ああ、君にこれを見せたくてね」
私は彼女に被害報告書を渡した。
彩夏
「…被害報告?妖魔によるものですか?」
支部長
「…そうであったら良かったのにな」
彩夏
「…どうゆうことですか?」
支部長
「それは『彼』によって出された被害だ」
拓真
「……ここは?」
目が覚めると見覚えのない部屋だった。
拓真
「…鎖?吊るされついるのか、俺は…」
両手の拘束具から出ている鎖は天井に繋がっており、両足も拘束具が付けられていて、こっちは床に鎖が伸びている。
両手と両足が広げられていて、装備類は外されている。
目の前の扉が開き、防護服で身を包んでいる人が入って来た。
拓真
「あぁ、思い出した。俺は…」
俺は薬を射たれ、そのまま意識が無くなった。
彩夏
「どうして拓真が!」
支部長の机を叩きながら、目の前にいる支部長に聞いた。
支部長
「私も最初はそう思った。だが私は、私の部下を…笑いながら殺している拓真を見ているんだ」
彩夏
「嘘よ!」
支部長
「…君もこれを見れば分かる」
支部長室にあるモニターに拓真が戦っている映像を映した。
彩夏
「…酷い」
支部長
「この映像は君たちの学校の監視カメラに映っていた映像だ。他にも回収部隊が残した映像があるが、あれは見ない方がいい」
彩夏
「何で拓真がこんなことを…」
支部長
「分からない。ただカメラの映像を見る限り、拓真は返り血を浴びてから、変化し始めた」
彩夏
「…どうゆうことですか?」
支部長
「悪魔で私の仮説だが、妖魔の血が拓真を変えたんじゃないだろうか」
彩夏
「妖魔の血が、ですか?」
支部長
「ああ、今、妖魔の死体と血、あと拓真の体も調べているところだ」
彩夏
「…わかりました」
目が覚めると、また独房にいた。
拓真
「…薬、強いの使いやがって」
相変わらず、両手両足には拘束具が付けられており、体は空中に浮いていた。
薬のせいだろうか、頭痛がする。
見れる範囲で体を見渡すと、右腕に注射の跡があった。おそらく血を抜いたんだろう。
他は服が無くなっていた。スボンはあるが、さっき着ていた制服のシャツが無くなっていた。
拓真
「また、誰か来たか?」
目の前の扉から、視線を感じた。
支部長
「やぁ、拓真」
拓真
「…何ですか?」
支部長と彩夏が入って来た。彩夏は黙っている。
支部長
「何か言うことは?」
拓真
「…俺は何人殺したんですか?」
支部
「およそ二十人だ」
拓真
「…そうですか」
支部長
「…楽しかったか?」
拓真
「人殺しが楽しいわけないがないでしょう」
支部長
「だがお前は笑っていたぞ」
拓真
「……」
沈黙が流れる。
俺が笑いながら人を殺していたのは正直堪えた。
拓真
「…妖魔の血は調べましたか?」
支部長
「今調べているところだ」
拓真
「多分麻薬と似たような物だと思いますよ。理性が無くなっていく感じがしましたから」
支部長
「あぁ、わかった」
支部長は用が済んだとばかりに部屋から出ていった。
彩夏はまだいた。
拓真
「彩夏は戻らないのか?」
彩夏
「…あのね、拓真」
拓真
「ん?何だ?」
彩夏
「意外といい体格しているのね」
拓真
「…は?」
彩夏
「最初は恥ずかしくて見れなかったけど、よく見たらいい体格しているから驚いた〜」
拓真
「いや、今そうゆう話をするか?」
彩夏
「じゃあ言うけど、私は拓真が人殺しだろうが、パートナーを辞める気は無いから」
拓真
「そこは彩夏の自由だから別にいいけど…」
彩夏
「じゃ、それを言いたかっただけだから」
彩夏は言い終わると部屋から出て行き、入れ替わるようにまた、防護服を着た人が来て薬を射たれた。