再会は災害?
引続き暴走中
月日は流れ6月
結局俺はバックパックとサブマシンガンを追加装備しているだけだった。
もちろんサブマシンガンは安全装置をかけているし、普段はマガジンと一緒にバックに入れている。
亮助
「なぁ拓真、そのバックの中身見せてくれよ〜。」
拓真
「断る。あと勝手に開けようとするな。」
妖魔が学園の近くに出現したのは、今の所あの一度きりだった。
亮助
「光希の姉ちゃんは隠してねぇじゃん。」
拓真
「あれを隠せたら凄いだろ。」
彩夏が持って来た武器は見た目を言うなら鉄球。
半径60㎝ぐらいの大きさで、鎖がついていて、鎖は彩夏の体と右手に巻き付いているらしい。確かに彩夏の右手の袖口から鎖が出ているが、鎖の長さがいまいち分からない。
ちなみに彩夏は鉄球を担いで移動しているからかなり目立つ。
拓真
「俺のは素人には危険物だから見せない。」
亮助
「けち〜」
拓真
「ほら先生来たから帰った帰った。」
手で払う動作をして亮助に自分の席に戻るように促した。
亮助
「そのうち見せてもらうからなー。」
亮助は捨て台詞を言ってから自分の席に戻った。
先生
「ホームルーム始めるから席に着け〜。」
先生の一声でまだ席に着いていなかった生徒が慌てて席に座った。
先生
「今日は転校生がいるからな。」
男子A
「美少女ですか!」
女子A
「美少年がいいな〜。」
先生
「喜べ男子、転校生は女子だ。」
男子(俺以外全員)
「イエーイ!!!!」
何テンション上がっているんだよ。
俺は窓の外を眺めながら思った。
拓真
「今日もいい天気だ。」
少し雨雲が見えるが、まぁ晴れと言っても間違いではない。
先生
「じゃあ、入って来なさい。」
教室のドアが開き、入って来たのは確かに美少女だった。けど…
拓真
(身長低!?)
まず俺が思ったのは身長が教卓とほとんど一緒で、一瞬、小学生が間違えて入って来たのかと思った。
さらに、なんと彼女はマフラーをしていた。
まだ少し肌寒いとはいえ、マフラーは行き過ぎだと思う。
???
「白河麻衣と言います。え〜と。」
言うことが思い付かないのか教室内を見渡し、俺がいる方を二度見て…
白河
「佐伯拓真さんの許嫁です。」
顔を赤くして言い放った。
拓真
「え?」
当然、俺は知らないし、覚えがない。
大介
「た〜く〜ま〜、どうゆうことだ〜、説明しろー!」
大介が席を立ち上がり、俺を睨んだ。
それに呼応するように他の男子の目が赤く光った。
拓真
「おい待て、俺にも分からないから。」
白河
「え!?覚えてないのですか?!2年前のこと…」
白河さんが俺の近くまで来て、手を握られ、かなり必死に見つめられた。
拓真
「2年前…?」
そういえば2年前にマフラー無くしたな、彼女が着けてるのに似てるやつ…ってまさか。
拓真
「ちょっとごめん。」
一言謝罪してからマフラーの右端を掴んで見た。
拓真
「…思い出した。あのときの子か。」
そこには俺の名前の刺繍があった。
白河
「そうです。2年前の冬に拓真さんに助けてもらいました。」
2年前の冬に、妖魔が出たとき確かに俺は彼女を助けた。
彼女は妖魔が出たことに気付かず、逃げ遅れていたところを俺が通りがかり、安全な場所まで案内した。
と言うより妖魔から逃げきれなかったから、彼女を守りながら戦った。
拓真
「あれ?何でマフラーを渡したんだっけ?」
白河
「えぇ!?覚えてないんですか?」
拓真
「ちょっと待って、もう少しで思い出しそう。」
確か…妖魔を倒した後に彼女から求婚された?
拓真
「まさか俺、キミの求婚に了承した?」
白河
「そうです♪このマフラーを自分と再会したときに着けていたら、結婚してもいい。って言ってくれました。なのでいつ再会してもいいように肌身離さず着けていました。」
思い出した。確かに言った。彼女に
けど場所はこの町からかなり離れた所だったし、彼女のこと小学生だと思ってたから、無理に近い条件として、着けてたマフラーを渡したんだった。
拓真
「…まさか再会するとは…」
俺は小声で呟いて、2年前の自分を恨んだ。
てか、彼女の信念は凄いな。
白河
「この学園に妖魔が出たのがよかったです。直ぐにネットでニュースになりましたから…もしかしてと思ってここに転校したんです。」
じゃぁあの妖魔が出たのが原因かよ…
俺は諦めていたところ、ふと白河の背後の光景に目が行った。
男子、赤く光った目で俺を睨んでいる。これはまだいい。けど光希が椅子を持ってこっちに来ている。これはヤバイ。俺が殺される予感がする。
拓真
「し白河さん、と取り合えず前に戻りなよ。先生が困った表情でこっちを見ているよ。」
俺の声は震えていた。いやだって光希の顔がもはや鬼になっているから。椅子が振り上げられてるから、目がもうヤバイから。
白河
「わかりました。けど…」
白河さんは俺に笑顔をむけて、後を振り返り…
拓真
「…え?」
光希が降り下ろした椅子を受け止めた。
白河
「戻る前にこの人、止めますね。」
彼女は俺に笑顔で言った。そして光希を蹴り飛ばした。
拓真
「え?何で光希の攻撃を平気で止めれるの?てか蹴りであんなに飛ばないから、普通。」
蹴り飛ばされた光希は反対側の壁に激突していた。
当然いくつか机と椅子を巻き込みながら飛んでいった。
生徒を避難していたのか、いなかった。
光希
「いった〜い。」
自分の周りにある椅子とかを退かしながら光希は立ち上がった。
白河
「意外と丈夫ですね?さっきの攻撃もなかなか重かったですよ。貴女、ノーマルじゃないですよね?」
ノーマル?普通の人のことか。俺は自分の中で納得した。
光希
「だったら何よ!」
光希は近くの椅子を乱暴に投げた。
白河
「それじゃ当たりません。ちょっと借りますね。」
白河さんは手早く俺の背中からナイフを一本抜いて、飛んで来た椅子を上に弾いた。
光希
「まだまだー!」
光希が椅子を持って近くまで来ていた。
光希は椅子を振りかぶり、白河さんはナイフで応戦しようとしていた。
拓真
「ストープ!!」
俺は光希の椅子をナイフで止めて、白河さんは手首を掴んで止めた。
光希
「拓真!?…邪魔しないでよ!!」
白河
「拓真さん、危ないので下がってください。」
拓真
「あのねぇ2人とも、今は休み時間じゃないんだよ。まだホームルームなんだけどさ…、あと白河さん、俺の武器で他人に危害を加えられたら俺が迷惑なんだけど。」
白河
「え?」
白河さんの持っているナイフの刃はそのまま振っていたら光希を斬っていた可能性があった。
拓真
「光希、今回はやり過ぎ、椅子が一つ天井に刺さっているぞ。」
光希
「あ。」
白河さんが弾いた椅子は、落下せずに天井に刺さっていた。
拓真
「まったく、事情は後で説明してやるから、席に戻れ。」
光希
「…わかった。」
光希はちょっとショボくれて席に戻った。
俺は白河さんからナイフを返してもらって自分の席に座った。
拓真
「…光希め、割りと本気で振りやがって。」
ナイフを握っていた手が軽く痺れていた。
その後つつがなく?ホームルームは終わり、白河麻衣はクラスの一員になった。
拓真
「…何でこうなる…」
白河
「拓真さ〜ん」
光希
「拓真から離れなさい!」
休み時間になった瞬間、白河さんが俺に抱きついて、光希がそれを必死に引き剥がそうとしていた。
大介
「モテモテやな拓真。」
亮助
「羨ましい限りだな。」
拓真
「お前ら、代わってやろうか?」
大介&亮助
「遠慮する。」
構図としては、俺に白河さんが抱きついて、それを光希が間に入って引き剥がそうとしている。
光希はともかく、白河さんもなかなか力があるから、白河さんの手がある俺の脇腹、あと引き剥がそうとして、光希の手が俺の顔を押している。
つまり、脇腹と顔がとてつもなく痛い。
光希
「離れなさい!」
白河
「嫌です。」
拓真
「イダダダ、2人とも痛いから、痛いからー!」
皆さんこれが羨ましいと言うなら、喜んで代わりましょう。
光希
「離れなさい!」
白河
「嫌です!」
拓真
「…もう勘弁して〜」
脇腹と顔に強烈な激痛を味わいながら俺は助かる術を考えていた。