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高校生のパパ  作者: 凰火
10/17

遭遇

いつもの朝、いつもの登校、ただ一点を除いて…。


拓真

(やっぱり少し重いな。)


それは俺が制服姿で武装していること。武装をしていると言っても外見からは普通の制服に見えている。

上着の背中部分の内側にはナイフが二本、そして両脇にホルスターにはハンドガンがそれぞれ入っている。もちろん、上着で隠れている。あとは上着の内外のポケットにはマガジンが入るだけ入っている。

なので俺の制服は普通の制服より重くなっている。

俺は学園に着くと、由美と由奈と別れ、それぞれの教室に向かった。



大介

「なんだ拓真、登校早々、疲れた顔しているじゃねぇか。」


拓真

「昨日は徹夜したんだよ。だから疲れが取れなかっただけだ。」


亮助

「お前、週末に疲れるようなことでもあったのか?」


拓真

「それなりにな…。」


藍那の家に強制連行されたり、光希の姉である彩夏に目を付けられたし、支部長からは警戒強化の知らせを聞いたから疲れが溜まっていた。


拓真

「流石に徹夜はするべきじゃなかったかもな。」


亮助

「何を言うか、高校生になったんだから徹夜ぐらい普通するだろう。」


大介

「そうだぞ拓真、徹夜はするのが普通だ。」


拓真

「…ちなみに何をやっている。」


大介、亮助

「ゲーム。」


拓真

「やっぱりか…。」


大介

「いやな、最近買ったやつが思いの外面白くてな、やっているといつの間にか徹夜してんだよ。」


亮助

「俺も同意見だ。」


拓真

「お前らな…。」


亮助

「おっと、先生が来たな。じゃあ席に戻るか。」


大介

「俺も。」


亮助と大介は逃げるように自分の席に戻った。


拓真

「逃げられた…。」






光希

「拓真、昼よ。起きなさい。」


拓真

「んあ?いけね、寝ていたか…。」


四限目の途中までは記憶があるが、それからは無い。


光希

「ほら、由美ちゃんたちも来たから昼御飯食べるよ。」


拓真

「ん?ああ。」


光希の後ろに由美と由奈がいた。

俺は弁当を取り出し、近くの空いてる席を移動させた。


拓真

「亮助と大介は購買まで買い出しか?」


光希

「そうよ。今頃2人とも戦っているでしょうね。」


拓真

「だろうな。あそこは凄いからな。」


由奈

「購買で戦う?何で?」


由美と由奈が首を傾げていた。


拓真

「そっか由奈たちは知らなかったよな。」


光希

「うちの購買はね、昼になると、購買パンをめぐる争いが起こるのよ。」


由美

「なんだか凄いですね。」


拓真

「由美と由奈はまず無理だろうしな。それと俺らには関係無いことだ。」


光希

「中等部のときは毎日行ってたくせに〜。」


拓真

「うるせ。」


弁当箱を開けて、食べ始めた。


亮助

「…ふぅ、今日は接戦だった。」


大介

「俺は狙い通りだったぜ。」


光希

「2人ともおつかれ〜。」


拓真

「ん?結構取れてるじゃん。」


大介

「当たり前だ。」


亮助

「少し出遅れたけどな。」


2人が持っているパンは購買パンの中では人気があるやつばかりだった。


???

「じゃあこれもらい。」


大介

「ぬわ?!」


大介の持っているパンの中からメロンパンが誰かに取られた。


大介

「人のパンを勝手にとるんじゃねー!!」


大介はパンを取った相手に飛びかかった。


大介

「え?うわ!」


大介は片手で抑えられ、簡単に弾き返された。


大介

「なんだ?チビの癖に強いぞ。」


あ、大介、それ地雷。


???

「私はチビじゃなーい!」


大介

「ぎああああ。」


拓真

「あ〜あ。ドンマイ大介。」


知らなかったとは言え、地雷を踏んだのが運の尽きだな大介よ。


光希

「お姉ちゃん!?何でここに来たの?」


亮助

「え?お姉ちゃん?」


そう、大介のパンを取り、大介を沈めた相手は光希の姉である彩夏だった。


彩夏

「何でって、ここに用があるからに決まっているだろう。」


拓真

「パンを取るのはどうかと思いますよ。」


彩夏

「拓真、固いこと言うなって、ちゃんと金ならそこに置いたし。」


大介がパンを置いている所を見ると確かに置いてあった。値段分。


拓真

「確かに置いてあるけど、本人が気づいてないし。あとやり過ぎですよ。彩夏。」


彩夏

「それはこいつが悪い。私のことチビだと言った。」


拓真

「気にしすぎだとおもうけどな…。」


俺は由美と由奈を彩夏の隣に立たせてみた。

うわ、由美と由奈より低い。


彩夏

「…拓真、今思ったこと言ってみ?」


拓真

「彩夏の背丈はまだ成長しそうだな〜。(棒読み)」


彩夏

「なら許す。」


ふぅ、危なかった。

何とか誤魔化した。


光希

「ちょっと、何で拓真がお姉ちゃんの名前知っているの?」


拓真

「えっと、それは…。」


彩夏

「昨日道端で合ったんだよ。私は光希から拓真のこと聞いてたからすぐわかったからな。」


亮助

「へ〜、光希は家で拓真のこと話しているんだ〜。」


光希

「うるさい!」


亮助

「うご!?」


光希のラリアットが綺麗にきまり、亮助は一回転して床に落ちた。


彩夏

「光希〜、ちゃんと加減しろよ。下手したら死んでるぞ。」


光希

「わ、わかってるよ。それぐらい。」


由奈

「小鳥遊先輩が空中一回転した〜。凄いー。」


由美

「小鳥遊先輩、白目になっていますけど、大丈夫なんですか?」


拓真

「多分大丈夫なんじゃないか?」


俺は再び弁当を食べ始めた。

亮助と大介の身体は丈夫だし、大丈夫だろう。


彩夏

「おっとそうだった。ちょっと拓真を借りていくから。」


拓真

「え?」


彩夏

「あらよっと。」


拓真

「うわ!ちょ!」


光希

「えぇ!」


俺は彩夏に担がれて、教室から連れ出された。




彩夏

「ここでいいか。」


拓真

「うわ!イテ!」


彩夏が屋上まで俺を運び、そして、投げられた。


拓真

「優しく降ろせないんですか?結構痛いんですよ、コンクリートは。」


彩夏

「ごめんごめん。で、武器は何を持って来た?」


彩夏は屋上の扉を閉めながら聞いてきた。


拓真

「ハンドガン二丁とナイフ二本、そっちは?」


彩夏

「…これ。」


拓真

「え?」


彩夏が出したのは赤いグローブだった。グローブと言っても、総合格闘家が着けているようなグローブだ。


拓真

「それって、グローブだよな?」


彩夏

「他の何かに見える?」


拓真

「いや、見えないけど…。」


彩夏

「だって、これ以外のは大過ぎてダメだったんだもん。」


拓真

「…はぁ、死ぬなよ。いくら武装が制限されているとは言え、ここで戦えるのは俺らだけだしな。」


彩夏

「そんなの言われなくてもわかってる。」


拓真

「ならいい。…ん?なんか変だ。」


彩夏

「え?」


視界の隅の方に写っていたグラウンドの様子がおかしかった。


拓真

「マジかよ!!」


俺は急いでグラウンドに向かった。


彩夏

「拓真、何が見えたの?」


彩夏も後ろから付いて来た。


拓真

「グラウンドに妖魔が出る前に起こる、歪みが見えた。グラウンドにいた生徒が気づいて無いのを考えて、高さ的に少し上だと思う。」


彩夏

「よく見えたね。」


拓真

「支部長に鍛えられたからね。」


下駄箱で運動靴を履き、グラウンドに出た。


拓真

「少し遅かったか!」


妖魔はすでに出現し、生徒を襲っていた。グラウンドにいた生徒は必死に逃げていた。


彩夏

「少し小さいけど、中型ね。」


拓真

「だな。俺が引き付けるから、生徒の誘導お願い。」


彩夏

「わかった。」


彩夏は逃げ遅れた生徒の所に向かった。

俺は制服の上着のボタンを外し、銃を取り出した。

安全装置(セーフティ)を解除し、スライドを引いて装填して、妖魔に向かって、それぞれ一発ずつ射ち出してから接近した。

これで注意はこっちにくるはず。

妖魔は高さが四メートルあり、一言で言うならサイクロプスのような姿をしていた。手に棍棒みたいな物、持っているし。

俺は右手に持っている銃をしまい。ナイフを抜いた。

接近しながら左手の銃で射ち、すれ違いざまに、右手のナイフで切った。

棍棒を振ってきたが、攻撃モーションが遅いから、簡単に避けた。


拓真

「固いな…。」


ナイフで切ったときの感触が重く、そんなに深く切れなかった。

俺はナイフをしまい、再び銃を取り出した。

射っては避け、弾が切れたら交換する。それが少し続いた。


拓真

「残り少ないな。」


外ポケットに入れたマガジンが無くなった。内ポケットのマガジンは左右合わせもそんなに多くはない。


彩夏

「加勢するよ。」


彩夏が殴ったのか知らないが、妖魔が片膝を地面についた。


彩夏

「固いんだけど…。」


俺の横まで来た彩夏が手を抑えながら言った。


拓真

「知ってる。さっきナイフで切ったから。」


彩夏

「ならどうする?」


拓真

「さっきから柔そうな目を狙って射っているんだけど、なかなか当たらない。」


彩夏

「下手くそ。」


拓真

「やってみるか?」


右手の銃を差し出しながら言った。


彩夏

「私が使うと弾が無駄になるわよ。」


拓真

「ならもう一回、足を殴って来て、動きが鈍るかもしれないし。」


攻撃を避けながら会話をするのも辛いな。

彩夏

「わかった。」


彩夏は妖魔に接近しながら、攻撃を避けていた。

俺は腕とか射ってみたが、効いているようには思えなかった。


拓真

「どんだけ丈夫なんだよ。」


攻撃を避け、マガジンを交換した。


彩夏

「せい!」


妖魔がバランスを崩し、片膝をついた。

俺はすかさず、目を狙って引き金を引いた。


「クガァァァァ!!!」


射ち出された二発の弾は目に当たった。

妖魔は持っていた棍棒を落とし、両手で目をふさいで、暴れていた。

俺と彩夏は巻き込まれないように後退し、距離をとった。

やがて動きは止まり、目から両手が離れた。


拓真

「さすがに死んではくれないか…。」


妖魔の目は真っ赤になり、そしてそのまま素手で襲いかかってきた。


拓真

「ぐっ…。」


バックステップで避けたが、かなり危なかった。あと少し反応が遅れてたら、当たっていた。


彩夏

「完全にキレてない?」


拓真

「キレてるだろうな。」


彩夏

「やっぱり…。」


拓真

「彩夏は下がって、後は俺がやる。」


彩夏

「勝算はあるの?」


拓真

「もちろん。」


俺は銃をしまい。ナイフに持ち替えた。

妖魔に接近し、ある攻撃をしてくるまで全力で避けた。


拓真

「よしきた!」


妖魔の手が地面に当たった瞬間、俺は妖魔の手の甲にナイフを突き刺した。

振り落とされないようにしっかり握りしめ、顔の近くに来たら、刺したナイフを離し、もう一本のナイフで妖魔の目に刺した。

すかさず銃を取り出し、目を至近距離で射ちまくった。

マガジンに入っている分を射ち終えると、ナイフを両手で握り、妖魔の目の縁に足を置いて、思いっきりナイフを刺したまま下に動かした。

裂けた部分から血のような物が飛び出し、全身にかかった。

妖魔がうつ伏せに倒れそうになっていたから、急いでナイフを抜き、飛び下りた。


拓真

「やっと倒した。」


彩夏

「お疲れ。」


拓真

「彩夏もね。」


彩夏

「じゃあ、支部に連絡しとくね。」


拓真

「頼む。う゛〜、全身返り血でべったりだ〜。」


彩夏

「ふふ、どんまい。」


彩夏はインカムを取り出し、連絡し始めた。

俺は校舎の方を見た。


拓真

「やっぱりこうなるよな。」


校舎に避難していた生徒が一斉に出てくるのが見えた。

俺は妖魔の手に刺さっているナイフを引き抜き、一振りしてからしまった。


拓真

「意外と早いな。」


俺はヘリが数機飛んでくるのが見えた。


彩夏

「衛生カメラで見えたから向かっていた途中だったらしいよ。」


拓真

「ふ〜ん。で、この状況はどうする?」


さっき校舎から出て来ていた生徒たちに周りを囲まれていた。


彩夏

「さぁ?どうしようか?」


拓真

「ですよね〜。」


この後はヘリから部隊が降りて来るまで生徒たちに質問攻めにあった。







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