4話 わからせ
「あぁザング…さん。訓練、よろしく頼む。」
「くかっ!まぁそんなに固くなるなよぉ〜元気に行こうぜぇ〜?元気によぉ〜」
き…距離が近い…。なんだろう、悪い人じゃないのは分かるのに鬱陶しくなるこの気持ち…コレ師匠かぁ〜、はぁ〜あ。
「……ハルキ様。すみません…、こういうお方なのです…」
「別にルシアが謝ることじゃないだろ?それに特訓だからな。我慢するさ」
「……なぁ〜んか失礼な感じだけどよぉ〜。まぁいいかぁ〜、さっさと特訓始めるぞぉ〜!おら剣構えろぉ〜」
そう言ってザングは片手で大剣を構えた。ん…片手で大剣…?両手じゃなくて…?
「……両手は使わないんですか?」
「あ〜?使わないんじゃねぇ、使えねぇんだよなぁ〜。ほれ見ろ〜。左腕はこないだ魔物に持ってかれちまってなぁ〜、参るぜまったくよぉ〜」
ザングの左腕はどうやら義手だったらしい。魔物に取られたらしいが…それも【魔王】の影響なのか…?まぁ、可哀想ではあるが俺には特に関係ない。
「もういいかぁ〜?いつでもいいぞぉ〜好きにかかってこぉ〜い!」
ひとまず、この特訓を終わらせて強くならねば…。まぁ、才能凄いらしいし?多分ここでその才能が開花する…のかな?あんま痛いのも嫌だし、早めに終わらせたいな〜。
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―――10時間後
「ガっ…あ…がぁッ…ぐ…」
俺は地に伏していた。なんだこの爺、クソ強え!どっから斬ろうとしても掠りすらしない…どころか全部カウンターされる…!しかも一瞬でも止まったら猛攻が来るときた。いやいやムリムリ。
「………んぁ〜。1日目だとこんなもんなのかぁ〜?なぁルシア嬢ぉ〜、もっかい聞くがよぉ〜本当にコイツが英雄様なのかぁ〜?」
「敬意を持て、と言ったでしょうザング様…。あなたがどう思おうとハルキ様は英雄ですよ」
「ん〜そうかねぇ〜?光るものを感じるには感じるんだがどうもなぁ〜。と〜りあえず、今回でお前が直すべきところは粗方分かったからなぁ〜。明日もまた鍛えるぞぉ〜、安心しろ〜?実戦形式でやるのは1週間後にするからよぉ〜」
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「そ、その…ハルキ様…。気を落とさないでくださいね…?きっと、強くなれます!大丈夫ですよ!」
「あぁ…そうだな、ありがとう。頑張るよ」
訓練を終え、俺たちは自室へと戻っていた。途中でルシアに励まされたが…そんな目に見えて落ち込んでいただろうか。ひとまず嘘をついたら安堵したようなので、どうでもいいが。
『本当にコイツが英雄様なのかぁ〜?』
その俺を舐め腐ったような発言が何度も何度も反芻される。それを悔しいと思うと同時に、仕方ないよなと思う気持ちもある。
どうやら俺はそこまで天才でもないらしい。
「はぁ〜あ、いったい何日かかるのやら…」
「……大丈夫です!きっとすぐですよ!!」
「……そうかねぇ」
正直言って、俺は――
ハルキ:アイムノットジーニアス
ルシア:10時間ずっと応援してくれてました。まぁそれはそれ、これはこれ。
ザング:素人をボコす人




